
韓国政府が刑事責任年齢に満たない「触法少年」の年齢引き下げを検討する中、少年犯罪対策のあり方をめぐる議論が続いている。専門家の間では、年齢引き下げだけでは低年齢化・凶悪化する犯罪傾向を抑えきれず、教育や更生、保護処分を含む再犯防止策を並行して進める必要があるとの指摘が相次いでいる。
韓国では2007年の少年法改正により、触法少年の下限年齢は満12歳から10歳に引き下げられた。一方、上限年齢は1953年の刑法制定以降、満14歳のままとなっている。上限引き下げの議論はこれまでも繰り返され、2022年には13歳への引き下げが検討されたが、司法当局や人権機関の反対により見送られた。処罰強化だけでは犯罪抑止につながらないとの認識が背景にある。
専門家は、実効性のある対策には再犯防止を軸とした対応が不可欠だと指摘する。一度犯罪に関与した少年が再び同様の行為に及ぶ流れを断ち切らなければ、処罰水準を引き上げても犯罪が繰り返される可能性が高いという。
近年は少年院送致に相当する重い処分が増加しており、少年人口が減少する中でも重大犯罪に関与するケースが増えていると分析されている。このため、年齢引き下げの必要性を一定程度認めつつも、それだけで処罰件数が大きく増えるとは限らないとの見方が示されている。
さらに、少年院や保護施設の過密化、教育プログラムの不足といった制度上の課題も指摘されており、保護処分後の更生支援体制の整備が重要な論点となっている。
少年犯罪は低年齢化と凶悪化が同時に進んでいるとの見方もある。身体的成熟の早まりや社会環境の変化により、より若年層による深刻な犯罪が増えているとされるが、年齢引き下げの効果については慎重な見方が根強い。
専門家は「単に年齢を1歳引き下げるだけでは、少年の行動や意識を変えることは難しい」とし、教育や更生プログラム、保護処分の全体的な改善の必要性を強調する。また、犯罪に至る背景の分析が不十分なまま政策が進められている点も課題として挙げられている。
特に、家庭環境や社会的包摂の不足、多文化や移住背景を持つ子ども、学業中断など複合的な要因を踏まえた分析が不可欠とされる。専門家は「短期的な対症的対応ではなく、少年犯罪が発生する背景を構造的に把握することが先決だ」と指摘している。
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