2025 年 6月 4日 (水)
ホームエンターテインメント「兵役は平等か」…韓流・著名人の不誠実勤務で広がる剥奪感

「兵役は平等か」…韓流・著名人の不誠実勤務で広がる剥奪感 [韓国記者コラム]

WINNERのメンバー、ソン・ミンホ(c)news1

韓国で兵役は、国家と個人の義務の交差点に立つ“名分”の象徴とされてきた。しかしその名分に、再び大きな揺らぎが起きている。韓流グループWINNERのメンバー、ソン・ミンホが社会服務要員としての勤務中に勤務規律違反を犯したとして、検察に不拘束のまま送致された。

古来より人は、自らの行為に意味と正当性を求めてきた。「名分」はその根拠となるものであり、兵役もまたその例外ではない。韓国で兵役に服することは「国家を守る」という強い名分によって支えられている。

一方、社会服務要員は軍事的任務を担うわけではなく、福祉・医療・行政などの現場に配置される非軍事的兵役制度だ。このため、「強制労働ではないか」との批判や、義務感の希薄さが問題視されてきた。

それでも制度には“名分”がある。ひとつは兵役の公平性だ。完全な免除よりも一定の公的任務を与えることで、より多くの国民に「義務の公平な分担」という意識を促す。もうひとつは、人手不足が深刻な公共分野の人材補完である。制度の即時廃止が現実的でないのは、この社会的ニーズに応えるためだ。

しかし近年、社会服務要員による「不誠実勤務」が相次ぎ、制度そのものの信頼性を揺るがしている。ソン・ミンホもその一例に過ぎない。彼が勤務していたソウル市麻浦区の公共施設では、責任者までが「勤務違反の幇助」容疑で検察に送致された。

ソン・ミンホに限らず、2023年末から2024年初めにかけてソウル市が実施した調査によれば、社会服務要員1519人のうち10人が無断欠勤や遅刻、職務怠慢などの理由で警告処分を受けた。うち7人はさらに悪質と判断され、警察に告発されている。

これを受けて兵務庁は、電子出退勤管理システムの導入や、警告・注意・減給・休暇制限といった細分化された懲戒制度の導入を決定した。

社会服務要員制度はその任務が軍務でないため、兵役義務としての「名分」が弱く見えるかもしれない。だが災害・戦争といった非常事態において、彼らが担う社会基盤の維持業務は、国家の存続に不可欠であるという点を忘れてはならない。

しかし、ソン・ミンホの不誠実な勤務態度は、この「名分」を根底から揺るがす事例となった。兵役を誠実に全うした多くの若者たちにとって、このような著名人の逸脱行為は強い剥奪感をもたらす。

社会服務要員制度は今後も存続していくだろう。しかしその正統性と信頼性を維持するためには、制度全体に対する厳格な監視と管理、そして著名人を含む要員自身の強い責任感が必要不可欠だ。さもなければ、制度そのものが「不公平の象徴」として国民の信頼を失いかねない。【news1 キム・ミンス記者】

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