
韓国の現行失業給付制度が、就労意欲をむしろ低下させる構造的問題を抱えているとの指摘が経済界から出た。
韓国の大手経営者団体である韓国経営者総協会が9月25日に公表した「雇用保険制度の問題点と改善方案」報告書によると、2024年時点で韓国の求職給付(失業給付の核心項目)の下限額は平均賃金比41.9%で、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最も高い水準にある。
求職給付は非自発的な失業時に支給されるもので、最低賃金の80%を下限額として設定している。近年の急激な最低賃金引き上げにより、この下限額が大幅に増えたという。現在、下限額が適用される失業者の月額給付は約193万ウォン(約20万4240円)で、1カ月分の最低賃金の92%に達する。税引後の実受給額(188万ウォン=約19万8880円)ベースでは、むしろ最低賃金を上回る「逆転現象」も発生している。
また、最小限の条件を満たせば約7カ月(180日)勤務後に4カ月間の給付を受けられるため、就労と失業を繰り返しながら給付に依存しやすい構造になっていると同協会は指摘する。求職給付の受給要件は直近18カ月のうち180日間の雇用保険加入であり、基準期間と拠出期間が短すぎるというのだ。
同協会は「就労と失業を繰り返す『給付依存型』受給者が増えているにもかかわらず、制裁措置が不十分だ。失業給付の受給資格認定率は99.7%に達し、申請すればほぼ全員が資格を得る寛大な制度設計になっている」と批判した。
さらに、育児休職給付など母性保護関連事業の費用の大部分が、本来の趣旨とは異なり失業給付勘定から支出されている点や、職業能力開発事業が訓練機関主導で設計されており現場ニーズと乖離している点も問題視した。
同協会は「持続可能な雇用保険制度を構築するためには、過度に高い下限額を是正し、反復受給者への給付を減額するなど合理的な誘因構造に改編する必要がある。失業給付の趣旨にそぐわない母性保護給付は国庫支援を拡大し、国家責任を中心とした制度に転換すべきだ」と強調した。
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