
韓国の自営業市場が縮小する一方で、60歳以上の高齢自営業者だけが急増し、210万人を超えた。年金だけでは生活が成り立たず、参入障壁の低い業種に流れ込む高齢層が増えているが、収益性は低く、「働いても貧しい老後」が固定化しつつある。
国家データ処のマイクロデータによると、2025年の60歳以上の自営業者は216万4885人で、前年比3.2%増となった。2015年(約142万人)と比べると1.5倍に膨らんだ。
一方、全体の自営業者数は2023年以降2年連続で減少し、2025年は562万人まで縮小。にもかかわらず高齢層の流入は止まらず、60歳以上が占める比率は38.5%と過去最高を記録した。自営業者10人のうち4人が還暦超という計算だ。
形態も厳しい。高齢自営業者の82.3%(178万3115人)は従業員を雇わない“なりわい型”で、体力・収益の両面で脆弱だ。
高齢層は、特別な技能や大規模投資を要しない業種に集中している。運輸・倉庫業の高齢自営業者は29万8331人で、10年で57.6%増。タクシーや貨物運転に就く退職者が目立つ。宿泊・飲食業も11万4432人と、2015年比72.1%増。外食店やチキン店が老後の受け皿になっている実態が浮かぶ。増加率では不動産業が突出し、10年で186.2%増。少人数・小資本で回しやすい点が流入を後押しした。
収入面は厳しい。韓国銀行の調査では、退職後に自営業を選んだ高齢層の46%が、月平均79万ウォン程度の年金では足りず就労を併せている。時間当たり売り上げは70代以上で1万4000ウォン。40代(2万7000ウォン)、30代(2万6000ウォン)のほぼ半分にとどまる。
中央大社会学科のイ・ビョンフン名誉教授は「韓国は経済協力開発機構諸国の中でも、最も遅い年齢まで働かざるを得ない構造的制約がある」と指摘する。「雇用市場から押し出された高齢層が生存のため自営業に向かう現状を踏まえ、定年延長の議論と併せ、デジタル能力の底上げなど個別支援を急ぐ必要がある」と訴えた。
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