2025 年 9月 3日 (水)
ホーム社会「偽遺族」とあざける声…済州航空機事故“2次加害”の闇

「偽遺族」とあざける声…済州航空機事故“2次加害”の闇 [韓国記者コラム]

務安航空の事故現場で開かれた「12・29済州航空旅客機惨事」合同追悼式(c)news1

2024年12月3日の非常戒厳令後、韓国社会を揺るがした済州航空旅客機の惨事。179人が犠牲となり、政府は1週間の哀悼期間を宣言、市民も深い悲しみに沈んだ。

しかしその裏側で、オンライン空間では遺族を中傷する映像や書き込みが氾濫した。犠牲者の遺族を「補償金目当ての偽の遺族」と嘲笑し、さらに「事故はCGで作られた捏造だ」「遺族はセウォル号、梨泰院雑踏事故の時にも登場した役者だ」と主張するユーチューバーまで現れた。

こうした「2次加害」に及んだ人々が次々と法廷に立たされている。

釜山地裁では、事故を虚偽と断じた映像を投稿した男性が「事故が捏造だと言ったことはない」「映像は切り貼りされたものだ」と弁明した。だが、裁判所は「大規模な被害を出した事故を題材に、自己の利益のため陰謀や臆測を盛り込んだ映像を流し、遺族に深刻な精神的苦痛を与えた」として懲役3年6カ月を言い渡した。

一方で、2次加害行為は罰金や執行猶予など比較的軽い処分にとどまるケースも多い。

警察庁によれば、8月21日時点で済州航空機事故関連の2次加害で検挙された65人のうち、身柄を拘束されたのは1人にすぎない。

また、ソウル北部地裁では、「遺族は偽物」「(当時野党の)『共に民主党』の党員だ」とする投稿をTikTokに掲載した62歳の男性の裁判が進められている。被告側は「虚偽と知らず、追加被害を防ぐ公益目的で投稿した」と無罪を主張したが、傍聴席からはため息が漏れた。

家族を失った遺族を侮辱しながら、「知らなかった」「公益のためだった」と責任を否認する被告人たち。裁判の場そのものが遺族にとって再び苦痛となるのではないか。

政府も強硬姿勢に転じた。大統領は「厳罰」を指示し、警察は専従捜査チームを編成した。現在捜査中の事件は245件に上る。今後も多くの2次加害者が法廷に立つ。

セウォル号事故、梨泰院雑踏事故、そして済州航空機事故。大規模事故を防ぐことと同じく、遺族の傷をえぐる非道な2次加害を根絶することもまた、社会の責務だ。法廷の判断に、再び注目が集まっている。【news1 キム・ヒョンジュン記者】

(c)news1

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