韓国でまた「伏日(ポンナル)」が巡ってくる。日本の「土用の丑」にあたる日で、犬の肉を使った補身湯(ポシンタン)愛好家たちの胸が高まっている。ただ、今年は少し雰囲気が違うようだ。大統領夫妻が犬の食用に反対し、国会とソウル市議会では犬の肉販売を禁止する法案と条例案が発議されている。韓国の「犬公」(犬を擬人化した表現)と関連業界の命運がかかった争いが始まっているのだ。
◇特別法、6月中に発議
韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領夫妻は、犬食に反対する立場を明らかにしている。与野党も先を争って犬食禁止立法の試みに乗り出している。野党「共に民主党」は関連特別法制定案を準備中で、与党「国民の力」は犬肉販売禁止を含む動物保護強化法案を発議した。
政界関係者によると、共に民主党のハン・ジョンエ(韓貞愛)議員は「犬食終息のための特別法」制定案を準備しており、早ければ今月中に代表発議する。
一般法に優先する特別法として準備中で、動物保護法改正を通じて犬食を禁止しようとするこれまでの試みから、一歩進んだものと言える。
単に犬の食用を禁止するだけでなく、既存の犬食関連業従事者の専業支援についても具体的に盛り込まれる見通しだ。
これは現在、同党指導部で力を入れている法案でもある。
キム・ミンソク政策委議長は今年4月、政策調整会議を通じて「ペットの時代、韓流の時代であり、釜山エキスポ推進や各種大型国際行事が相次いでいる。犬の違法飼育、食肉処理を禁止し、関連業者の安定的専業支援のための特別法を発議して通過させる」と明らかにした。
イングランドのプロサッカー1部プレミアリーグで活躍中のソン・フンミン選手に対するブーイングのきっかけとなった悪口も根絶しなければならない。一部の悪質ネットユーザからSNS上で「犬、猫、コウモリでも食べる人間」「犬肉でも食べろ」などと差別発言を受けたことを踏まえ、「ソン・フンミン差別予防法」という表現も使われている。
ハン・ジョンエ議員は、2020年末にもパク・ホングン、パク・ソンジュン両議員らとともに、犬や猫を殺処分して食用として使用したり、販売したりする行為を禁止するとした動物保護法改正案を出したことがある。犬の食用禁止を明文化する試みは韓国の国会では初めてで、同法案は現在、農林畜産食品海洋水産委員会で審議中だ。
◇地方自治体レベルでも
与党からも犬の食用禁止に関する法案が提出された。
国民の力のテ・ヨンホ(太永浩)議員は4月、犬の食用を禁止する内容の動物保護法改正案を代表発議し、アン・チョルス、キム・ソンギョ両議員らが共同発議者として名を連ねた。
同法案は今月中に国会農海水委全体会議に上程される予定だ。テ・ヨンホ議員は動物を殺す目的で虐待行為をし、未遂に終わった場合でも処罰するようにした規定を盛り込んだ動物保護法改正案も今月1日に出した。
ユン大統領は昨年の大統領選候補の時から、犬食に反対するという立場を明確にしている。
4月には妻キム・ゴニ(金建希)氏が動物保護団体関係者たちとの非公開昼食会で「犬の食用を任期内にやめさせるよう努力する」と約束した。
地方自治体レベルでも最近、同党ソウル市議が「犬猫食用禁止に関する条例案」を代表発議した。
条例案は犬・猫食禁止のための市長の責務を明記し、その実態調査、食用禁止支援事業、過怠金などについて規定した。条例案によると、ソウル市は原産地などが不明で非衛生的な犬肉取扱業者を集中的に取り締まり、業種変更を誘導するとしている。
(つづく)
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