2024 年 5月 7日 (火)
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「今、ソーシアルディスタンスに神経を使う時なのか」

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1日、新しいソーシャルディスタンスのフレーズが飲食店に掲げられている©news1

韓国で、現行の「8人・夜11時まで」に制限されているソーシアルディスタンスが、4日から「10人・夜12時まで」に緩和される。新たなソーシアルディスタンス適用以降、政府は防疫指標が安定的に維持される場合、室内でのマスクの着用を除く規制の全面緩和などの可能性を示唆し、「エンデミック(特定の地域で普段から繰り返し発生する状態)」の準備を進めている。

専門家らは、既に増えるだけ増えた感染者や、これに先立って十分に緩和された規制を考慮し、ソーシアルディスタンスより、ピークが続いている重症者や感染者管理のための対応に力を入れるべきだと声があがっている。

防疫当局は1日、今月4日から2週間、「私的な集まりの人員10人、営業時間は夜12時まで」を骨子とするソーシアルディスタンス調整案を適用すると発表した。最近の韓国国内感染者患数の減少傾向と、「ステルスオミクロン」とも呼ばれる「BA.2」の拡大などを総合的に判断した漸進的緩和を選択したということだ。

国内の新型コロナ感染拡大後、政府がソーシアルディスタンスの調整案を発表するたびに国民の関心が集まったが、今回の発表後の反応は冷ややかだ。特に次の調整案発表の際、規制の完全撤廃の可能性があり、今回が「最後のソーシアルディスタンス」になる可能性があるという点で特別だ。

これは先月ピークに達したとされる国内の感染状況によるものと見られる。既に「感染者が出るだけ出た」という認識が深まり、これまで繰り返し適用されてきたソーシアルディスタンスが大幅に緩和され、これ以上大きな意味を持たせることは難しいという判断からだ。

ソーシアルディスタンス調整案に、より敏感な零細商工人や自営業者も、営業制限中心の防疫指針が完全に廃止されない限り、小幅な調整は意味がないという立場だ。専門家らは、既に重みのなくなったソーシアルディスタンス調整案よりは、まだピークがわからない重症者と死亡者の管理に集中すべきだと口をそろえている。感染者の規模は2週間連続で減少傾向を見せているが、二つの指標は相変わらず史上最高値の水準が続いているためだ。

実際、同日国内の新規感染者数は28万273人と、前週に比べ5万9199人、前日に比べ4万470人減ったが、重症者は3日連続1300人前後で推移している。死亡者も連日300人を超え、目立った減少傾向はない。特に新規感染者診断数が重症患者の指標に反映されるまでに2~3週間程度かかるという点を考慮すれば、まだピークとは言えない数だ。国内の新規感染者が最も多く発生したのは62万1187人を記録した先月17日だ。

防疫当局は、現在の防疫システムの重点が、重症患者や死亡者の管理であることを繰り返し強調し、医療対応に自信を持っているが、説得力がない。実情は医療現場の依然とした人手不足と、死亡者急増で火葬場不足による「葬儀大混乱」などの現状と乖離しているからだ。重篤化や死亡者の管理が未解決のままソーシアルディスタンス緩和のみに焦点を当てていくと、流行の減少の遅れや、これに起因する重症患者、死亡者の増加などの悪循環につながりかねないという懸念が続く。

©MONEYTODAY

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