韓国・富川市にある「人生二幕支援センター」は、50代・60代の「新中年(W世代)」たちが新しい人生のステージに挑戦する特別な場所として注目を集めている。料理やセルフインテリア、デジタルスキル講座など、多彩なプログラムを通じて、新たな可能性を切り開く現場を取材した。
富川市・遠美区にある文化施設「ポクサゴル文化センター」の3階。この「人生二幕支援センター」では、早朝から多くの新中年たちが講座に参加するため足を運ぶ。料理教室「幸せを料理する男たち」では、50代の男性受講生たちがエプロンをつけ、真剣な表情で料理に没頭していた。
この講座を担当するキム・サンギョンさん(59)は、かつて料理研究家として活躍していた経験を生かし、「人生二幕支援センター」の「私も講師だ」プログラムを通じて現在の職を得た。
キムさんは「講師という立場に最初はプレッシャーを感じたが、自分の経験が他人の役に立つと考えるとやりがいを感じる」と語った。
別の教室では、受講生だったペ・ジュヒョンさん(61)が自身の成功体験を後輩たちにシェアしていた。彼女は「セルフインテリアフィルム講座」を修了後、タイル建材店を開業。「センターで技術を学んでいなければ、今の店を持つことはできなかった」と語りながら、後輩たちに勇気を与えていた。
富川市は、急速に進む高齢化社会に備え、1955~74年生まれの「W世代」に焦点を当てた政策を推進。W世代は、ウェルビーイング(健康)、知恵、仕事や資産を重視する特徴があるとされ、この世代に向けた支援が中心となっている。
「人生二幕支援センター」は、老後の準備から就業や起業まで幅広い支援を提供しており、2024年には26のプログラムを実施中。特に、チャットGPTを活用したスマートオフィス講座などのデジタル活用講座は、申し込み当日に定員が埋まるほどの人気を誇る。デジタルに不慣れな新中年たちに新たなスキルを提供している。
また、社会貢献活動との連携も特徴の一つだ。「整理収納コーディネーター」プログラムを通じて、多くの受講生が地域の困難な家庭の住環境改善に貢献。2023年には266世帯を対象に466回のサービスが実施された。
チョ・ヨンイク市長は「富川市は新中年政策で先駆的な役割を果たしている。新中年の皆さんが健康で安定した人生二幕を送れるよう、惜しみない支援を続けていく」と強調した。
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