2025 年 12月 24日 (水)
ホーム社会「人口減少の一途」から逆転…カジノ資金で始まる韓国“農山漁村型基本所得”の威力

「人口減少の一途」から逆転…カジノ資金で始まる韓国“農山漁村型基本所得”の威力

江原道旌善郡庁の外観(c)news1

韓国江原道(カンウォンド)の旌善郡(チョンソングン)が、韓国唯一のカジノ運営企業・江原ランドの配当金を主要財源とする「農山漁村型基本所得」制度の実施を前に、若年層を中心に住民登録人口の反発傾向を見せている。郡はこの政策を本格化させ、深刻な地方消滅の危機に立ち向かう構えだ。

行政安全省の発表によると、旌善郡の住民登録人口は2025年11月時点で3万4457人となり、今年1月から11月までの月間最多を記録した。これは2023年9月(3万4465人)以来、26カ月ぶりの高水準だ。

旌善郡では、ここ5年で住民登録人口が減少の一途をたどっていた。2020年は3万6870人だったが、2024年には3万3515人まで減少。特に2024年2月以降は3万4000人を割り込む状況が続いていた。

しかし、基本所得制度の開始を翌年に控えた2025年11月、3万4000人台を回復。前年同月比で874人の純増となり、20~32歳の若年層において特に顕著な増加が見られた。

郡はこれまで、地方消滅対応基金を活用したさまざまな人口対策事業を展開してきたが、とりわけ月額15万ウォン(約1万7000円)を支給する「農山漁村基本所得」計画の公表が人口流入の起爆剤となったと分析している。

旌善郡のチェ・スンジュン郡守は、2022年の第8回全国同時地方選挙で「江原ランドの収益を活用した基本所得支給」を公約に掲げて再選を果たした。その後、郡は農林畜産食品省が主導する農山漁村基本所得の試験地域に選定され、事業の準備を進めてきた。

郡の計画では、2026年からの2年間、郡内に住民登録があり30日以上居住している住民を対象に、月15万ウォン分のカード型地域商品券「旌善アリラン商品券」を支給する。この実施準備期間に人口が回復し始めたとみられる。

同事業にかかる総事業費は国費・道費を含め約580億ウォンで、このうち郡が負担するのは173億ウォン。郡はそのうち125億ウォンを江原ランドの配当金で賄い、残る約40億ウォンのみを一般財源で充当する予定だ。旌善郡は今年も同程度の配当金を確保しており、来年も同様の規模を見込んでいる。

(c)news1

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