
韓国ではエンデミック以降、海外旅行市場は最大級の活況を呈している。一方で、旅行業界の表情は明るくない。出国者数はコロナ前のピークだった2019年をすでに上回ったが、旅行会社の収益の柱である「パッケージ旅行」の需要が伸び悩み、むしろ後退したためだ。
韓国観光公社の観光データラボによると、2025年1~11月の韓国人海外旅行者数は2680万3084人。2019年の同期間(2637万1937人)を約43万人上回った。12月分を合算すれば、年間2871万人を記録した2019年の通年実績に迫るか、超える可能性が高い。仁川国際空港が連日混雑する背景だ。
しかし、旅行会社の四半期決算を詳しく見ると状況は一変する。集客の「量」は回復したが、利益という「実」は伴わなかった。
業界最大手のハナツアーでは、2025年10~12月の海外送客数が117万人と前年同期比13%増えた。だが、収益性の低い航空券・ホテルのみを手配する自由旅行(FIT)が21%急増した一方、利益を生みやすいパッケージ利用者は約60万人で、増加率は1%にとどまった。
モドゥツアーはさらに厳しい。12月の月次資料では送客数が23.4%減少し、パッケージ客も10.6%落ち込んだ。体質改善の一環とはいえ、航空券販売(▲42.5%)の減少も重なり、下振れが目立った。
最大の要因は「東南アジア」だ。冬の繁忙期は例年、温暖な東南アジアのパッケージ旅行が稼ぎ頭となる。しかし今回は、カンボジアを中心に広がった韓国人拉致・監禁犯罪への不安や、タイ・カンボジア国境を巡る緊張などが重なり、旅行心理を冷え込ませた。ハナツアーでは、全パッケージの38.5%を占める東南アジア向け送客が前年比15%以上減少した。
中国(+28%)や日本向けは増えたものの、従来の「優等生」だった東南アジアの落ち込みを補うには力不足だった。
証券業界は四半期業績に慎重な見方を示す。ある証券会社はハナツアーの営業利益を266億ウォンと推定し、「過去最高水準だが、マーケティング費用の増加とパッケージ成長の鈍化を考えると、市場予想を大きく超える展開は見込みにくい」と分析した。モドゥツアーも営業利益率は3%台にとどまるとの予測が出ている。
業界では、直近の四半期を「人は2019年より多かったが、儲けは乏しかった時期」と総括する声が強い。報復消費の一巡とともに、旅行スタイルが「コスパ重視の自由旅行」へ傾き、旅行会社の存在感が揺らいでいるとの危機感もにじむ。
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