韓国・仁川で先月発生した電気自動車(EV)の火災事故以降、EVの「バッテリーの原産地」によって販売実績が明暗を分けた。国産バッテリーを使用したEVは比較的健闘した一方、中国製バッテリーを搭載したEVは販売が鈍化した。
先月販売が急増したEVの多くは韓国製バッテリーを搭載したモデルだった。先月1日に発生したEV火災事故以降、国内消費者がEVを購入する際に「バッテリーの原産地」を検討し始めたという。
国産ブランドでは起亜「EV3」と現代「キャスパーエレクトリック」が最も多く販売された。両モデルはそれぞれ1439台と4002台を売り上げ、国内EV市場を牽引した。両車両ともにLGエナジーソリューションのバッテリーを使用している。
輸入車の中ではフォルクスワーゲン「ID.4」の販売増加が際立った。ID.4はLGエナジーソリューションのバッテリーを搭載し、先月1386万ウォン(約136万円)という破格の割引条件を打ち出し、過去最多の販売台数を達成した。アウディは325台を販売し、前月比22.3%減少したものの、ベンツ・BMWに比べると健闘したとの評価を受けた。
一方、ベンツは406台(-50.6%)、BMWは133台(-43.1%)と前月比で大幅に販売台数が減少した。両ブランドの一部モデルに中国製バッテリーが搭載されたことが原因の一つとされている。ベンツの場合、火災車両である「EQE 350+」をはじめ、複数の車種に中国製バッテリーを使用していた。BMWは「ix1」「ix3」「iX xDrive40」など一部のモデルに、中国の電池メーカー最大手「寧徳時代新能源科技(CATL)」のバッテリーを採用している。
業界関係者は「先月、国産バッテリーを使用したEVの販売が増加したり、販売減少幅が中国製バッテリーのEVよりも相対的に小さかった」とし、「仁川火災事故以降、消費者がバッテリーの原産地を重要な購入要素と見なしている」と説明した。
ただし、業界ではバッテリーの原産地だけでEVの安全性を判断するのは適切ではないとの意見が支配的だ。多くの完成車メーカーが世界最大のCATLのバッテリーを使用しており、中国製バッテリーの水準はかなり高いからだ。
また、今回の火災で問題となったのは高容量・高密度のニッケル・コバルト・マンガン(NCM)バッテリーだ。中国のバッテリーメーカーが主力とするLFP(リン酸鉄リチウムイオン)バッテリーはNCMよりも走行距離は短いが、火災リスクは比較的低い。
業界関係者は「火災車両に中国の中堅車載電池メーカー『孚能科技(ファラシス・エナジー)』のバッテリーが使用されたことで、最近、中国製バッテリーへの消費者の不信が高まっている」としつつも「単純にバッテリーの原産地だけでEVの商業的価値を議論するのは適切ではない」と述べた。
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