◇「ロマンスファンタジー」人気はグローバル…ウェブトゥーンがもつ「時宜性」にも注目
現在のウェブトゥーンがグローバルで成功するようになった要因として、プラットフォームの役割が大きかった。しかし、重要なことはプラットフォーム自体より、その中にある作品だ。作品の成否がそのままプラットフォームの成否を分ける。
海外進出した韓国プラットフォームごとに、主力とするウェブトゥーンのジャンルは異なるが、一般的にグローバルで大ヒットするジャンルはロマンスファンタジーだ。
北米、東南アジア、欧州でウェブトゥーンプラットフォーム「comico(コミコ)」を運営する韓国ネット大手NHNが、今年の目標を「女性向けプラットフォーム1位」と決めたこともあった。
ウェブトゥーン産業協会のソ・ボムカン会長は「韓国のロマンス作品の描写やストーリー演出が優れていることもあるが、『星から来たあなた』、『キム秘書はいったい、なぜ?』などのメロドラマが海外で成功したことで、ロマンスジャンルがさらに脚光を浴びたということもある」と分析している。
一方、ウェブトゥーンの持つタイムリーさの特徴を注目する見解もある。昨日起こったことが今日、ウェブトゥーンに登場するほどタイムリーであり、読者から共感を得られるという説明だ。
ネイバーウェブトゥーン責任リーダーのチャ・ハナ氏は「ウェブトゥーンが持つ長所はタイムリーさとトレンディさ。誰もが共感できるさまざまなストーリーテリング構造が可能なので、読者へ魅力的に接近したのだろう」と語った。
◇OTT作品がヒットすればウェブトゥーンも共に成長
ウェブトゥーンはゲーム、ドラマ、映画など、従来の各コンテンツ産業より遅れて始まった市場だが、コンテンツの根源となる「ストーリー」を提供して影響力を培っているところだ。
特に、ウェブトゥーンを原作としたドラマや映画がヒットすれば、原作ウェブトゥーンに対する関心は大きく増加する。米動画配信大手ネットフリックス(Netflix)のようなOTT事業者が、成功したウェブトゥーンIPでドラマを制作する傾向が続き、ウェブ小説-ウェブトゥーン-ドラマのバリューチェーンはさらに強固になるものとみられる。
例えば、ネットフリックスで放映されたカカオエンターテイメントの「社内お見合い」はグローバル各地で1位になった後、東南アジア地域を中心に原作ウェブトゥーンの再生回数と取引額が大きく伸びた事例もある。
業界関係者は「映画やドラマ制作会社がウェブトゥーンを原作にする作品を好む傾向にある。成功したウェブトゥーンは作品性がすでに証明されていてファンダムも持っているため、映像化に有利だ」と述べた。
◇韓国企業同士が首位を争うが…「すべてのコンテンツ企業が競争相手」
「モバイル環境が拡大するほど、ユーザーは『いつでもどこでも簡単で速くて楽に』楽しめるコンテンツを探すでしょう。そこに最適なコンテンツはウェブトゥーンです。」
ソ会長はウェブトゥーンの成長可能性に対して積極的な展望を打ち出した。
ネイバーやカカオが全世界ウェブトゥーン市場の上位を大部分占めているなか、ウェブトゥーンの全体漫画市場シェアが急速に高まっている点を強調している。
韓国コンテンツ振興院が発刊した「2021漫画産業白書」によると、漫画産業規模が最大の日本はデジタル漫画への転換が最も速い。2016年に33.6%のシェアを記録した日本のデジタル漫画は、2025年には80.6%まで成長すると予想される。
ウェブトゥーンに代表されるデジタル漫画のシェアは米国、中国、インドなど世界各国で毎年高まる見通しだ。特に、ネイバーとカカオが今年本格的に進出するフランスは、全世界漫画市場の中でデジタル漫画シェアが1%と非常に低いが、最近は若年層を中心に消費が増加しており、成長潜在力が高い。
業界関係者は「韓国企業が海外ウェブトゥーン市場で1、2位を争っているが、真のライバルはコンテンツを提供するすべての企業。YouTubeを手掛けるGoogleも究極的な競争相手になり得る」とみている。
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