
韓国で、建設現場での墜落事故により「下半身まひ」と診断され、約10億ウォン(約1億円)の損害賠償を求めていた作業員が、実際には自力で歩行していたことが映像で確認され、物議を醸している。4月22日に放送されたJTBC「事件班長」で報じられた。
事故は2021年8月、江原道の飲食店建設現場で発生した。60代の建設会社経営者が請け負った現場で、作業員が4メートルの高さから転落し脊椎を骨折。手術後、脊椎に6本のピンを挿入し、病院で「下半身まひ」と診断された。
作業員は翌年、韓国労災補償制度で最も重い「第1級第8号障害」に認定された。作業員は経営者を産業安全保健法違反で刑事告訴し、10億ウォンの民事訴訟も起こした。刑事では経営者に1000万ウォンの罰金が科された。
民事訴訟の中で、経営者は同じ病院に入院していた別の作業員から「作業員は歩ける」との情報を得て尾行を開始。妻の介助で車椅子を使う作業員が、別の日には補助具なしで飲食店に入店し、食後も普通に歩く様子を撮影した。帰宅時も車を運転し、自宅前で車椅子に乗り換える姿が確認された。
これを受け、経営者は作業員を詐欺容疑で告訴した。ただ、警察は「多少の矛盾があっても処罰対象にはならない」として不起訴とした。
作業員の弁護人は「医療診断に基づく正式な障害認定であり、逆に事業主の訴えは無責任だ」と反論している。一方で経営者は「まひと診断された人が歩くのは理解できない」とし、映像を韓国労働福祉公団に提出した。公団は作業員に再検査を命じている。
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