韓国の百貨店業界が美術品の確保に熱を上げている。差別化された経験を顧客に提供でき、高級ブランドのイメージを構築できるからだ。販売事業にも拡張が可能なため、各社が関連部署を設置し、売場内に美術品を増やすのに余念がない。
ロッテ百貨店蚕室アベニュエルは来月1日から、地下1階から地上2階までの空間に、デンマークの芸術家、フスク・ミット・ナヴン(Husk Mit Navn)の大型作品を、韓国で初めて展示する。フスク・ミット・ナヴンは平面ドローイングで立体効果を出す作品で知られる。韓国にもファンが多い。
作品はポップアップスペースの工事現場を囲む壁に設置される。これまでの遊休空間を美術品展示空間として新しく活用する。ロッテ百貨店はアートマーケティングの一環と説明している。
ロッテ百貨店は昨年、アートコンテンツ室組織を新たに発足させるなど、百貨店のギャラリー化に力を入れている。
全階リニューアル作業中のロッテ百貨店本店には、100余りの作品を随所に置いている。昨年オープンした東灘店にも英画家デイヴィッド・ホックニー(David Hockney)ら、有名作家の作品が100余り展示され、百貨店で初めて「オーディオ案内」サービスを導入した。
ロッテ百貨店関係者は「芸術的インスピレーションなど顧客に新たな経験を提供し、単純なショッピング空間を越えて多様な要素を感じられるように努力している。展示中の芸術品は販売もする。本店では6億ウォン程度の画が販売された」と明らかにした。
新世界(シンセゲ)百貨店もデパートのギャラリー化に積極的だ。新世界は1966年、韓国の百貨店業界で初めて本店に常設展示場を開設。美術専門空間を備え、百貨店「ビッグ3」の中で初めてギャラリーチームを組織として設けた。
昨年3月には定期株主総会で、事業目的に「美術品の展示・販売・仲介・賃貸業および関連コンサルティング業」を追加した。
新世界百貨店江南店3階「アートスペース」では毎月100点余りの作品を展示・販売している。
現代百貨店は狎鴎亭本店を開店した1985年、店内に美術品展示空間である「ギャラリーH」をオープン。その後、現在、貿易センター店・木洞店・ザ現代ソウルなど全国7店舗で常設展示空間「ギャラリーH」を運営している。
草間彌生やキース・ヘリング(Keith Haring)ら国内外の有名作家に加え、新進作家の展示会を年間100回以上開催している。
ギャラリー運営とアートフェア、芸術展示企画などを担当する文化コンテンツチームも作った。
ある百貨店関係者は「美術品、展示会に熱狂するMZ世代を魅了し、ラグジュアリーなブランドイメージを一層強化することができる。MZ世代が主な消費層に浮上したことから、今後も競争が続く」と見通している。
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