
韓国・仁川(インチョン)で発生した自作銃による殺人事件をめぐり、出動した警察が「防弾ヘルメットがない」として現場への突入を遅らせていたことが明らかになった。しかし、実際にはパトカーのトランクに防弾ヘルメットが搭載されていたことが判明し、警察の初動対応に対する批判が高まっている。
事件は、容疑者の男(62)によるもの。7月20日午後9時32分ごろ、仁川市松島の息子の自宅で開かれていた自身の誕生日会の最中に、息子を自作の銃器で射殺したとされる。当時、現場には男と息子、その妻、子ども2人、外国人家庭教師の計6人がいた。警察は、男が他の家族も殺害しようとしていた可能性があるとして、殺人未遂の容疑も適用している。
当時、警察の状況室は現場に出動した地元派出所に対して、防弾チョッキと防弾ヘルメットの着用を指示していた。しかし、現場のチーム長は無線で「防弾ヘルメットと防弾盾が必要だ。無条件で突入するのは危険だ」と応答。さらに「チョッキは着ているが、ヘルメットはない。盾はあるが防弾ではない」と報告した。
だが実際には、出動したパトカーのトランクには、防弾ヘルメットが2個ずつ搭載されていたとされる。警察装備管理規則にも派出所への支給が明記されている。それにもかかわらず、出動した7人の警察官のうち6人はヘルメットを着用しておらず、残る1人もプラスチック製の安全ヘルメットを着けていたに過ぎなかった。
警察関係者は「最初に出動した1人が取り出したヘルメットは防弾ではなく安全用だった。非常に緊迫した状況で装備を確認する余裕がなかったのだろう」と釈明した。そのうえで「防弾ヘルメットがなかったから突入できなかったというのは誤解だ。犯人が銃を所持しており、現場の判断として即時突入は不可能とみなされた」と説明した。
その後、警察は特殊部隊を投入し、通報から72分後の午後10時43分に自宅内に突入。しかし被害者の息子はすでに心肺停止の状態だった。
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