「今年の3月から急にお客さんが途切れてしまいました。その余波で賃貸料も2カ月間滞りました。店を開いておくほど損だから、いっそのことドアを閉めてアルバイトした方がいいと思いました。それで数日間ラーメン屋で働きました。返済しなければならない借金も多く、材料費も高騰したのに……。本当に漠然としています」
韓国で全国に雨が降った今月4日。大雨のせいだろうか。ハン氏(35歳・男)の食堂は閑散としていた。
ハン氏は昨年10月、ソウル・大峙洞に食堂を開いた。京畿道東豆川で商売をしていたが、意欲的に江南に渡った。特に料理を習ってはいないが、サーモン料理に対する自負心はすごかった。お客さんの評価も良かった。
今年1~2月まではハン氏の食堂はなんとか商売がうまくいった。あまり残っていないが、それでも赤字は出なかった。
◇「賃貸人に支払いの猶予」求め
そうするうちに、今年3月から急に客が減った。
年明けには1日平均40万ウォン(1ウォン=約0.1円)分の鮭丼を販売したが、3月中旬から20万ウォン台に減った。商売がうまくいくと思ってアルバイト労働者も雇ったが、失敗だった。
ハンさんが払わなければならない店の運営費は約350万ウォン。賃貸料250万ウォンに管理費、電気料金、火災保険料などまで加えた値だ。ここに貯蓄銀行とカード会社から受け取った貸出利子130万ウォンを加えれば、計480万ウォンが固定費として抜ける。
鮭の値段も侮れない。ロシアのウクライナ侵攻で供給が遅れると、一時、1匹当たり23万ウォンまで跳ね上がった。今は13万ウォンまで下がったが、負担になるのが事実だ。
売り上げが激減した。賃貸料を払えなくなり、賃貸人に支払いの猶予がほしいと求めた。
そして、店を閉めてアルバイトを調べ始めた。
「商売ができないから、店を閉め、駅近くの日本ラーメン屋でアルバイトをした。自営業者には代行運転をする人が多いのではないか」
ハン氏の感想だ。
◇高金利融資
新型コロナウイルス感染パンデミックが事実上終了したにもかかわらず、ハン氏のような自営業者の懐事情はなかなか良くなっていない。今年に入って景気低迷が本格化し、庶民がますます財布の紐を締めているためだ。
商売はできないが、貸出利子から配達費用までかかるお金は日増しに増えている。
ナイス評価情報が5月に発刊した「個人事業者貸出モニタリング報告書」によると、昨年末基準で自営業者が受けた貸出は計1078兆3000億ウォン(1ウォン=約0.1円)と現れた。個人当たり平均3億3000万ウォンの貸出を受けたわけだが、このうち40%が高金利の「第2金融圏」(カード会社など多様な非銀行金融機関)から借りたお金だ。
(つづく)
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