韓国の対米輸出額が「トランプ2.0」時代の到来で約13%減少するとの予測が発表された。これに伴い、韓国政府は経済副首相を中心とする金融・通商・産業の三分野合同会議体を即座に稼働させる緊急体制に入った。
韓国国会立法調査処が16日公開した報告書「トランプノミクス2.0が韓国に及ぼす影響と対応策」によると、第2期トランプ政権の発足により、韓国の対米輸出品に10%以上の関税が課される可能性が高い。これにより、年間対米輸出額は152億ドル(約2兆3459億円)減少すると推計されている。2023年の対米輸出額1156億ドル(約17兆8400億円)と比較すると、全体の13.1%に相当する大幅な減少となる。
この影響は米韓関係にとどまらない。立法調査処は第三国市場でも韓国の輸出が年間47億~63億ドル(約7250億円~9723億円)減少すると予測している。米中対立が激化し、中国の成長鈍化や内需低迷が続けば、中国は供給過剰問題を解決するために第三国市場へ低価格ダンピング輸出をする可能性がある。この結果、韓国の第三国向け輸出も圧迫される懸念がある。
さらに、中国の大手流通企業であるアリババやTEMUなどが超低価格の商品をグローバル市場で積極的に展開しており、この傾向は今後も強まるとみられる。また、第三国が米国向け輸出品に関税を課された場合、第三国の韓国製中間財の輸入需要も減少する可能性が指摘されている。
対米輸出は、中国の経済低迷により韓国の輸出経済を支える重要な位置に成長している。2024年1~5月の対米輸出額は533億ドル(約8兆2263億円)に達し、同期間の対中輸出額526億9000万ドル(約8兆1321億円)を上回った。この傾向は2023年から続いており、米国は18年ぶりに韓国の輸出先ランキングで2位に返り咲いている。
韓国政府は、トランプ政権の第1期で改訂された韓米FTA(自由貿易協定)について、その相互利益をアピールする外交活動を強化する必要があると指摘されている。2018年の改訂案では、米国製自動車の韓国輸入枠拡大や関税撤廃期限の延長などが合意され、米国政府もこれを国家安全保障と経済のバランス改善の一環として評価していた。
さらに、対米黒字が大きい品目への追加関税に備えた交渉戦略の準備も求められている。特に、自動車、コンピュータ部品、冷蔵庫といった韓国が対米輸出で黒字を出している製品が主要なターゲットになる可能性が高い。
韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領は、第2期トランプ政権への備えとして経済副首相を統括責任者とする対策を指示した。10日に大統領執務室で開かれた経済・安全保障点検会議で「金融、通商、産業分野の会議体を即時稼働させ、政策対応の準備を進めるべきだ」と強調した。
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