
トランプ米大統領が自動車に対する相互関税や品目関税を来月2日から本格的に適用した場合、韓国の自動車業界に大きな影響を及ぼす可能性が指摘されている。特に、現代自動車グループの国内生産は30万台減少し、韓国GMは全生産量の約80%が打撃を受けるとする分析が出た。
韓国の産業研究院のキム・ギョンユ主任研究委員は12日、国会議員会館で開かれた「米国新政権の自動車通商環境対応」に関する討論会で、「韓国GMは価格に敏感な小型車の生産拠点として北米市場への依存度が高く、関税が課されれば輸出に深刻な影響を受ける」と述べた。
韓国GMはゼネラルモーターズ(GM)の小型SUV生産拠点として、昌原(チャンウォン)工場と富平(プピョン)工場で「トレイルブレイザー」と「トラックス」の2モデルを生産し、昨年49万6000台を販売した。このうち国内販売は2万2899台で、全生産量の4.6%にすぎない。一方で、米国向け輸出は41万8782台と84.4%に達しており、米国市場への依存度が極めて高い。
キム研究委員は「GM本社の販売は米州市場に集中しているため、代替市場を見つけるのは難しい。韓国GMの輸出が縮小する中で、新たな輸出市場を開拓するのは容易ではない」と説明した。
◇韓国の自動車産業、米国依存度の高さが懸念材料
韓国の自動車産業は昨年、米国への輸出で429億ドル、輸入は25億ドルを記録し、404億ドルの貿易黒字を達成した。新型コロナウイルスの影響からの回復に伴い、米国の自動車需要が増加し、特に環境対応車や高級車の販売が伸びたことで、米国市場への依存度は46.7%に達している。
しかし、トランプ政権が掲げた「アメリカ・ファースト」の政策に基づき、25%の追加関税や品目ごとの関税が導入されれば、韓国自動車メーカーの輸出に深刻な影響を与える可能性がある。すでに起亜(キア)自動車はメキシコの関税強化の影響を受けており、関税の適用が始まれば韓国国内からの輸出が大幅に減少するとの懸念が高まっている。
現代自動車グループの関係者は「昨年、グループ全体で米国に170万台を販売した。そのうち、メキシコを含む現地生産分は70万台、韓国からの輸出分は100万台だった」としたうえで「もし関税の影響が大きくなれば、韓国国内の生産台数は70万台に縮小し、現地生産が100万台以上に増える可能性がある」と述べた。
キム研究委員も「米国が自動車に関税を課せば、韓国の対米輸出は16.3%減少する見込みだ。海外の調査機関も10~20%の輸出減少を予測している」と指摘した。
◇現地生産強化で関税リスクに対応
こうした状況を受け、現代自動車グループは米ジョージア州にある「現代自動車グループメタプラントアメリカ(HMGMA)」を含め、年間70万台規模の生産工場を稼働させており、年内に最大120万台の生産能力を確保する。関税の影響を軽減するため、現地生産を拡大し、昨年の対米輸出の50%を現地生産に置き換える。
韓国自動車モビリティ協会(KAMA)のソ・ジョンラン常務は「完成車メーカーの立場からすれば、韓国はメキシコ、日本に次いで米国との自動車貿易黒字が大きい国であり、ターゲットにされる可能性が高い」と警戒を示した。そのうえで「韓国の強みである造船・防衛産業とのパッケージ協力を活用する、または韓国の完成車が米国経済に貢献している点を交渉の論理として活用するのがよい」と提案した。
また「米国市場への依存度を下げるため、ASEAN(東南アジア諸国連合)など輸出地域の多角化を進めるべきだ。公的開発援助(ODA)資金を増やし、企業の海外進出を支援することで、市場の多様化を図るべきだ」と述べた。同時に「国内の自動車生産基盤が縮小する可能性が高いため、電気自動車(EV)など次世代自動車への転換と競争力強化のための政策支援を拡大してほしい」と要請した。
産業通商資源省のパク・テヒョン自動車課長は「鉄鋼については、鋼板とアルミニウムが区分され、関税の対象は鉄鋼に集中している。自動車部品への影響はまだ小さいと見ている。政府レベルでタスクフォース(TF)を拡大し、関税が適用された場合の対応策を検討しており、具体的な案を策定していく」と明らかにした。
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