
韓国全羅北道完州郡の物流会社に勤務する協力会社の男性社員(41)が、社内冷蔵庫からチョコパイなど1050ウォン(約111円)分の菓子を食べたとして窃盗罪に問われた「チョコパイ窃盗事件」が控訴審に移り注目を集めている。被告側は「チョコパイ1個を盗む者はいない」と主張し、無罪を訴えている。
この男性は同社で約15年間、清掃・警備を担当してきた。数年前から労働組合活動に参加し、成果給格差是正や下請け労働者の正規職転換を求めて会社側と摩擦を起こしていた。弁護側は「軽微な事件にもかかわらず刑事裁判にまで発展した背景には労組活動に伴う職場内対立が影響した可能性がある」と指摘している。
事件は2024年1月18日未明、男性が事務所内の冷蔵庫からチョコパイ(450ウォン=約48円)と菓子(600ウォン=約63円相当)を取り出して食べたことで発覚した。物流会社関係者が刑事告発し、検察は当初略式命令を出したが、被告が無罪を主張して正式な裁判に移行した。もし有罪が確定すれば解雇の可能性が高いため、弁護費用としてすでに1000万ウォン(約105万8000円)以上を投じているという。
控訴審は9月18日に始まり、弁護側は意見書を提出した。男性は初公判後、「記事が出てからとても苦しかった」と語り、弁護士も「現在進行中なので多くを語れない」と述べるにとどめた。次回公判は10月30日に開かれ、弁護側が請求した証人尋問が進められる。
1審の裁判所は、▽事件現場の事務室が協力会社社員に立ち入り制限されていた▽冷蔵庫が事務所奥にあり他の社員は近づかない場所だった▽被告が菓子に対する処分権限を持たないと認識していた――を挙げて有罪と判断し、罰金5万ウォンを科していた。
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