米新興企業「オープンAI」が開発した生成人工知能(AI)「ChatGPT(チャットGPT)」の高波が押し寄せるなか、韓国社会でAIに質問する技術、すなわち「プロンプト(Prompt)」を学習するブームが起きている。業種別プロンプトの開発はもちろん、プロンプト専門の企業、サービス、取引所、エンジニア、コンサルタントのような職種も生まれている。韓国でにわかに脚光を浴びる“プロンプトエコノミー”に焦点を当てる。
◇「プロンプト」とは
そもそも「プロンプト」とは何か。
コンピューターに精通した技術者らは、例えばウインドウズ(Windows)を使う際、マウスを使わず、黒い画面に向かってキーボードで文字列(コマンド=命令)を入力して操作している。この「キーボードだけで操作する画面」を「コマンドラインインターフェース(CLI)」と呼んでいる。
このCLIにおいて、利用者は文字列によって指示を与え、コンピュータの側は画面に文字を表示することによって応答したり情報を提示したりする。
コンピュータの操作が可能になると、画面左端などに「システムが入力を受け付けられる状態である」ことを示す「>」「$」「%」などの文字や記号(プロンプト)が並び、入力を促す。ここに人間がソフトウェアへの命令を書く。Enterキーなどで指示を確定すると直ちに実行され、終了すると再び次行にプロンプトが表示される。この繰り返しにより対話形式で処理が進められる。
◇関連講義や映像コンテンツも増加
韓国で最近、IT教育プラットフォーム「インフロン(Infleorn)」が、さまざまなプロンプトを紹介した「チャットGPT AIチャットボットの基本活用法」の無料講義を開くと、1700人余りが集まり、受講した。
「マソキャンパス(MASO CAMPUS)」が「ワディズ(wadiz)」でクラウドファンディングした「プロンプトエンジニアリング」講義は、有料であるにもかかわらず、10日で330人余りが受講した。
グローバル教育プラットフォーム「ユデミ(udemy)」では、プロンプト講義だけで7667に達し、ハングル字幕を提供するコンテンツには1000人もの受講者が集まった。
ユーチューブでもすでに、プロンプト関連の映像コンテンツが数百本あり、毎日増え続けている。
◇社員にプロンプト学習
時代は生成型AIだ。
AIとの対話法である「プロンプト」の学習が、韓国で広がっている。
プロンプトを熟知していなければ、職場や学校で淘汰されるのではないか――こんな危機感さえ広がっている。
外国の大学を卒業して、韓国のIT業界で働く人物をこんな話をした。
「同僚が、チャットGPTを使って、あっという間に英文の事業報告書を作成するようになった。その様子を見て“英語が上手であることは、もはや強みではない”と悟った。プロンプトの作成能力がなければ、ややもすれば競争に勝てない。そう思って毎晩、ユーチューブ講義を見ている」
韓国では、AIと専門的に対話する「プロンプトエンジニア」はもちろん、プロンプトを販売・取引するプラットフォーム、コンサルタントまで登場している。一部の企業は、社員にプロンプトの学習を求め、その支援に乗り出している。
生成型AIモデルが高度化すれば、「ドメイン知識」(特定の専門分野や業界に関する知識や知見)を有する専門のプロンプトエンジニアが増えるという見通しも出ている。
したがって「プロンプトエコノミー」というものが台頭するというわけだ。
(つづく)
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