
「ソウル最後のバラック村」と呼ばれたソウル市蘆原区中渓本洞の「白沙(ペクサ)マウル」で、住民らが数十年にわたり待ち望んできた再開発がついに本格始動した。事業が完了すれば、地下4階~地上35階建て、全26棟・3178世帯規模の大規模住宅団地が誕生する。入居開始は2029年を目指している。
現地で12月1日開かれた起工式には、長年この地で暮らしてきた住民らが多く参加し、感激に涙を浮かべる姿も見られた。ある住民は「まさか生きているうちに新しいマンションに住めるとは思わなかった。本当に感慨深い」と語った。
白沙マウルは1960年代、都市再開発により住宅を失った約1100人の市民が、北漢山の麓に移り住んで形成された地域だ。住環境の劣悪さから再開発の必要性はたびたび指摘されてきたが、開発制限区域に指定されていたことなどから、事業は長年停滞していた。
2009年に再整備区域に指定されたのちも、低層住宅保全規制や分譲・賃貸の区画問題、プライバシー確保の課題などが障壁となり、事業は10年以上進まず、住民の高齢化が進んだ。2023年に事業性改善措置として、用途地域の変更や容積率補正が導入され、今年8月には現在の整備計画案が告示された。
この地域では、再開発が叶う前に亡くなった住民も少なくない。45年以上前に入居したという住民は「昔から“いつか再開発がある”と言われていたが、当時の高齢者たちは『一度でいいから新しい家に住んでみたい』と願っていた」と話し、長年の月日を振り返った。
再開発を歓迎しているのは住民だけではない。中渓洞やその周辺地域の住民たちも再開発による地域全体の価値向上に期待を寄せている。
中渓本洞のある住民は「冬になると石炭を運んでいた町が3000世帯の団地に生まれ変わるのは嬉しいこと」と喜んだ。中渓洞の統長(町内会長)も「『最後の月の村』として貧しいイメージが強かったが、今は誇らしく思う」と語った。
白沙マウルの撤去作業はすでに2025年5月から始まっており、12月中には完了する。その後、2026年上半期に着工し、2029年の入居開始を目標に工事が進められる。
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