韓国のウ・ドンギ(禹東琪)国家均衡発展委員長がこのほど、MONEYTODAYの取材に応じた。「もう首都圏も成長の限界に来ている」と訴え、地方の時代を切り開くことの重要性を語った。
「ソウルと日本の東京の物価や不動産価格を比較してみてください。競争力があるのでしょうか。韓国は、地方の時代を切り開いて新たな跳躍を遂げる時です」
毎朝、地域の日刊紙を読むことで1日を始めるというウ・ドンギ氏は、1979年の国土開発研究院から始まり、地方移譲推進委員会とソウル市政開発研究院、大邱市教育監、大邱(テグ)カトリック大学総長などを歴任し、韓国最高の地域専門家と呼ばれる。ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が年内発足を控えた「地方時代委員会」の初代委員長にウ・ドンギ委員長を指名した背景だ。
ウ・ドンギ委員長はこれまで均衡発展政策が効果を上げられなかった理由から一つ一つ説明した。
「均衡発展政策がまともな効果を出せなかった最も大きな理由は、ICT(情報通信技術)発達に伴う環境変化を、正確に予測できなかった点にある。この間、歴代政権は、知識と情報が拡大し、通信手段が発達すれば、国土が均衡を保ちながら発展できると誤って予測した。実際に情報化時代は首都圏だけに情報を集中させ、新しい価値を創出させた。これが首都圏集中化現象を加速する契機になった」
また、通貨危機のような経済危機を経て、政策が効率ばかりを重視した点も悔やんでいる。首都圏に比べ、さまざまな側面で効率が悪い地方が疎外された原因になったためだ。
「数回の経済危機に見舞われた韓国政府は、首都圏での工場の新・増設、大学定員の拡大などを許容しつつ首都圏の規制を緩和させ、これは首都圏の一極体制を固めた。遅ればせながら首都圏を規制し、公共機関の地方移転を推進したが、この程度では力不足だった」
ウ・ドンギ委員長が率いる地方時代委員会はこうした失敗を繰り返さないため、主要企業や機関に「機会発展特区」を通じて破格の恩恵を提供する計画だという。
「企業が『首都圏に残っているか、地方に行くか』と悩むくらいにならなければならない。前例のない税制支援と規制特例を付与するという点でこれまでの特区とは完全に違うと言える」
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