コラム
MONEYTODAY記者 キム・ジュヒョン
韓国・現代重工業。5日間の全面ストライキ中、過去とは異なる点が目につく。MZ世代職員がストライキに対して批判を浴びせ、ストライキに参加しないと宣言したのだ。過去の造船所のストライキは労働者が一丸となって会社と戦ったものだ。その光景が一変している。
MZ世代には「一生の職場」という概念はない。状況によって、さまざまな職場を転々とすることができる。賃金が良ければ、超短期職や臨時職を選択することもある。
正社員へのこだわりはない。そんなものより、「ワーク・ライフ・バランス」(仕事と生活の調和)を考え、勤務条件などをより優先する傾向がある。
新型コロナウイルス禍を機に「ギグエコノミー」(臨時職経済)が、速度を増して労働市場に入り込んでいる。在宅勤務に慣れた若い会社員らは、相対的に時間当たりの所得が高く、柔軟な勤務時間が保障されるプラットフォームでの労働を選択したりする。
外国もこの状況に変わりはない。
米国では自ら職場を離れる「自発的退社者」が2月現在で約440万人に達した。すでに昨年から深刻な求人難に苦しめられている米企業は、職員を雇うために「5年勤続でボーナス7000万ウォン」「賃金削減のない週4日制」などの条件を前面に出している。
企業側が労働市場の変化に目線を合わせなければ、韓国でも深刻な求人難に見舞われかねない――専門家はこう警告する。
このような労働パラダイム転換のなかで、ユン・ソンニョル(尹錫悦)次期政権の雇用労働相候補者にイ・ジョンシク元韓国労働組合総連盟の事務処長が指名された。イ・ジョンシク氏は約30年間、労働界に携わってきた労使関係の専門家と評価されている。
ユン・ソンニョル氏は、イ・ジョンシク氏について「労働現場の豊富な経験と専門性を土台に合理的な労使関係の確立の下絵を描く適任者」と評価している。
ユン次期政権は、110大国政課題を通じて、選択的勤労時間制の推進▽重大災害法の再整備▽職務・成果中心の賃金体系の拡散――などを労働分野の課題として提示した。時代の変化を受けて、避けては通ることのできない懸案であるものの、労使間で鋭く対立する課題だ。
政策推進のためには利害当事者である労働界との活発な意思疎通は不可欠だ。新たな雇用労働相による開かれた歩みを期待する。
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