
韓国のホテル・リゾート業界が相次いでシニア産業に進出し、「シニアタウン」の設立に乗り出している。5つ星ホテルの「メイフィールドホテル(Mayfield Hotel)」や、韓国リゾート業界1位の「大明ソノグループ(SONO GROUP)」などが、安定的な高付加価値ビジネスとしてシニア市場を選択した背景が注目される。
既存のホテル・リゾート事業は景気に左右されやすく、収益の安定性に課題があった。そのため、人口高齢化を迎えた韓国で、経済力のある高齢層、いわゆる「ゴールデン・シルバー」世代をターゲットにしたシニアタウン事業は、有望な収益源とみなされている。
ホテル・リゾートで蓄積したホスピタリティ(接客・サービス)分野のノウハウも、シニアタウン事業において大きな競争力となる。
大明ソノグループは航空業にも進出している大手企業で、最近シルバー産業に特化したタスクフォースを設置し、ソウル市江南区エリアを候補地とするシニアタウン設立を本格化している。リゾート業界で築いた顧客管理のノウハウを活かす考えだ。
また、ソウル市江西区に位置する唯一の5つ星ホテル、メイフィールドホテルもシニアタウン事業に参入。同ホテルは、かつて運営していた「メイフィールドホテルスクール」の敷地を活用し、静かで美しい景観が特徴の環境を生かしたシニアタウンを建設する計画だ。既にシニアタウンブランド「ザ・ヘドゥン(THE HAEDEN)」として商標出願も完了し、早ければ年内にも着工する予定だという。
さらに、ホテル新羅やホテルロッテなど、免税事業で苦戦する企業もシニア市場への参入を決めている。ホテル新羅は20日の株主総会で事業目的に「高齢者住宅・余暇福祉施設の設置運営事業」を追加し、ホテルロッテもシニアレジデンスの運営を準備中とされる。
これらの動きは、シニア産業が景気の影響を受けにくいだけでなく、経済力のある高齢層を対象とするため、安定的かつ高収益が見込まれる点が魅力となっている。特に、通常のホテル利用が短期間であるのに対し、シニアタウンは数億ウォン規模の入居保証金と1年以上の長期契約が基本で、ホテル運営企業にとっては堅実な収益構造を実現できる事業形態だ。
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