
「(米国に行ったら)好きな選手に思い切りサインをもらって、一緒に写真も撮ってほしい」
2026年ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で韓国代表の主将を務めたイ・ジョンフは、チームのベスト8進出後のインタビューでこう語った。
大会中にライバル選手との交流を勧める発言は一見すると異例に映る。しかしその言葉の背景には、より大きな意味が込められていた。
メジャーリーグでプレーするイ・ジョンフは、代表選手たちが普段は簡単に接することのできないトップ選手と交流し、世界の舞台を肌で感じてほしいと願っていた。重圧を和らげ、広い視野を持って試合に臨んでほしいというメッセージでもある。
WBCは、より高いレベルを目指す選手にとって格好の舞台だ。大会での活躍をきっかけにキャリアを飛躍させた例も少なくない。
さらに今大会で韓国代表は、競技外でも貴重な経験を積んだ。日本から米マイアミへはビジネスクラス仕様のチャーター機で移動し、入国手続きも簡略化され、現地では警備付きで移動するなど、メジャーリーグ水準の待遇を受けた。
マイアミではメジャーの本拠地球場で練習し、ドミニカ共和国という強豪チームと対戦。世界最高峰の環境とレベルを体感した。
現地での練習を見守る選手たちの表情には驚きや発見がにじみ、強烈な打球を放つ打者に目を見張る場面もあった。自らの課題を再認識する姿も見られたという。
帰国後、選手たちは口々に「今回の経験が転機になった」と語った。短い期間ではあっても、大舞台の空気は確実に彼らに刺激を与えた。
今後10年以上、代表の中心を担う世代がこうした経験を得た意義は大きい。それは個人の成長にとどまらず、韓国野球全体の底上げにつながる可能性を秘めている。
敗戦の象徴とされる「コールドゲーム」は忘れていい。それ以上に価値ある経験が、今回の代表には刻まれた。【news1 ソ・チャンウォン記者】
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