
韓国で公共スポーツ施設の不足により「グラウンド争奪戦」が常態化している。特に参加率向上の原動力となっているアマチュアクラブでは施設予約の悩みが絶えない。日本や英国などの「スポーツ先進国」にならい、公共インフラの拡充が急務だという指摘も出ている。
「毎週1回だった練習が2~3週に1回になった」と言うのはソウルのサッカークラブの関係者。公営のサッカー場は予約競争が激しく、メンバー総出でオンライン予約に臨んでも人気の時間帯は事実上門前払いだ。私営の施設は1時間あたり10万ウォン(約1万円)の利用料が負担。もはやチームの存続すら危ぶまれている。
文化体育観光省の資料によると、昨年の生活スポーツ参加率は全国で49.5%。特に女性は51.2%と初めて半数を突破した。サッカー、野球、陸上など人気競技では登録されているだけで5000~1万のクラブが存在する。
これに公共スポーツ施設の供給が追いついていない。昨年の調査では、全国のサッカー場は1146カ所、野球場は359カ所、テニス場は898カ所。サッカー場の数は2013年(801カ所)から43%しか増えていない。2023年の国民生活体育調査では、全体の28.1%が「金銭的余裕がない、または施設がないため参加が難しい」と答えている。
これに比べ、週1回以上運動する市民の割合が70%に達する日本では公共スポーツ施設が約4万5000カ所、人口が韓国の約半分の台湾でも3000カ所以上、英国は約11万5000カ所に上る。
ソウル市の場合、公営施設は午後6時~10時に閉まるところが多く、多くの学校施設も一般には閉鎖されている。統計庁によると、全国の学校内スポーツ施設は1534カ所あり、首都圏(ソウル・京畿・仁川)には500カ所以上が集中。学校の運動場の積極的な開放、利用時間の延長、民間施設への補助など多角的な対策が求められている。
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