2025 年 1月 27日 (月)
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「キャッシュレス」ソウルを「現金だけ」で歩いてみた…日本の45歳女性「七転八倒」ルポ (中)

ソウル市城東区のある映画館で、キオスク利用を前にしばらく画面を見つめている高齢者(c)news1

◇現金を受け取ったまま消えた映画館スタッフ

百貨店に到着した落合さんは、映画館でミュージカル映画「ウィキッド」のチケットを予約しようとした。目の前にあるのはキオスク(無人注文機)。有人のチケット売り場は見当たらなかった。

韓国生活2年目の落合さんにとっても、韓国語で操作するキオスクはまだ難しい。韓国語と英語を選べる画面で英語を選び、慎重に映画を選んだが、現金決済のボタンが見当たらず、戸惑った末に「呼び出し」ボタンを押した。

スタッフが駆けつけ、「現金での決済は有人の窓口でお手伝いします」と案内されたが、映画館内に散在するキオスクとは対照的に、窓口は小さく、見つけるのが一苦労だった。スタッフの助けを借りながら、なんとか映画チケットを購入した。ところが、スタッフが誤ってチケットを2枚選択しており、価格が3万4000ウォンと表示された。「どうしよう」。落合さんは不安げな表情で記者のほうを見た。

記者が「私は客ではない」と説明すると、スタッフは正しい価格1万7000ウォンを案内した。2万ウォン札を差し出すと、それを受け取ったスタッフはどこかへ消え、しばらくして戻ってきて、お釣りの3000ウォンを手渡した。現金専用の機械がなく、手作業で処理しているようだった。

「外国でカードを使う際、言葉が通じず、自分でも気づかないうちに大きな額を使ってしまうのではと心配になる。特に私の友人たちは、自分がどれだけ支払ったかしっかり確認したいから現金を使いたがる」

支払いを終えた後、落合さんはこう強調する。現金なら、支出額を目で確認できる安心感があるという。

落合さんは、短時間で店員とやり取りしなければならない状況では、必ず現金を差し出し、領収書を受け取るという。少し前、伝統市場でカードを使った際、店主のミスで1000ウォン余計に支払った経験があり、それ以来カードに対する漠然とした不安が増したという。韓国語が堪能な彼女でもそうであるならば、初めて韓国を訪れる観光客が感じる不安はなおさらだろう。

◇立ちはだかる「キオスク」

次に落合さんが訪れたのは、彼女が特に行きたかったという「オリーブヤングN聖水店」。ここは、韓国を訪れる日本人観光客が「Kビューティ」の聖地として憧れるスポットだ。

食品売り場で何を買おうか考え込んでいた落合さんは、4800ウォンの「コンブチャ」を手に取り、キオスク(無人注文機)へと足を運んだ。韓国生活に慣れた彼女は、バーコードをスキャンし、決済ボタンを押した。しかし、現金決済のボタンが見当たらず、またもや困惑。結局、呼び出しボタンを押し、スタッフに助けを求めた。

スタッフは落合さんに「現金は有人のレジでお願いします」と案内した。キオスクには現金決済の選択肢がなかったためだ。

支払いを終えた後、落合さんは「『キオスク』という言葉を聞くだけでうんざりする」という。彼女によると、日本でもコンビニに無人レジが導入され、高齢者らが苦労しているという。しかし、彼女は「それでも日本ではキオスクで現金が使えるようになっているため、不便を感じることはない」と付け加えた。

(c)news1

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