
十数年前まで韓国の街を埋め尽くしていたのは寿司店やラーメン店だった。だがいまや逆に日本の都市部では韓国の看板が増えている。カフェで韓国風デザートを味わい、食事には韓国料理を選ぶ光景が当たり前となり、キムチが日本料理に添えられるほどKフードが日常に浸透している。
9月14日、大阪・なんばマルイ百貨店1階。赤い看板にハングルで「ハーリス」と書かれた店が一際目を引いた。韓国で馴染み深いフランチャイズカフェが大阪中心部に進出すると、若者で連日賑わった。昨年開店したなんば店は、1日平均700人以上が訪れ、1年間の累計来客は30万人を突破。日本限定の「薬菓クリームラテ」や「いちご生クリームケーキ」などが人気メニューに挙げられる。
客の一人は「ドラマ『愛の不時着』をきっかけに韓国文化に関心を持つようになった。大阪で韓国式カフェを体験できて嬉しい。広い空間でゆったり楽しめるのも魅力だ」と語った。
一方、9月13日に訪れた道頓堀の韓国式中華料理チェーン「香港飯店0410」も食事時間を過ぎても客が途切れなかった。来店した男性は「ここのチャンポンは日本のラーメンと全く違う辛さでクセになる。外食価格が高い日本でこの値段なら満足感がある」と評価した。
こうしてK-POPブームに続き、Kフードは日本の食文化に深く入り込んでいる。キムチ・チキン・トッポッキなどの定番は若者の軽食や酒のつまみとして定着し、韓国デザートのかき氷や韓菓まで人気が広がっている。大手スーパーやドン・キホーテでは韓国食品専用コーナーが設けられ、ラーメンやヤンニョムチキンソース、冷凍トッポッキが常時陳列されるほどだ。インスタグラムでは「#韓国料理好きな人と繋がりたい」の投稿が6万5000件を超える。
韓国貿易統計振興院の農食品輸出情報(KATI)によると、2025年7月までの対日食品輸出累計額は8億9629万ドルで、前年同期比4.6%増。業界関係者は「韓国料理はコリアタウンに行かずとも大型スーパーやコンビニで買えるようになった。K-POPやドラマで親しんだ文化が流通拡大と結びつき、特別体験ではなく日常的な消費として定着している」と分析した。
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