コラム
NEWSISインターン記者 ユン・ダヨン
韓国で最近、話題になっているENAドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」。高機能自閉スペクトラム障害を持っている弁護士ウ・ヨンウが、ソウルのローファーム(弁護士事務所)に就職し、社会生活を送る物語だ。最近放送を終えたtvN「私たちのブルース」も、障害者を主演女優として前面に出した。
障害者をテーマにした作品が増えている。ただ、心配がある。こうした作品を、障害者も非障害者のように楽しみながら見ることができるだろうか。
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韓国消費者院が2月22日に公開した「障害者消費者モバイル取引実態調査」によると、回答した視覚障害者の25%が映像を再生をする時に不便を感じていると答えた。彼らは音声認識でアプリを利用するためだ。
また、聴覚障害者が利用しやすいよう、台詞や効果音などを画面上の文字で表示する「閉鎖字幕」について、動画ストリーミングサイト4社のうち、自社コンテンツの大部分に閉鎖字幕を提供するのは1社のみ。一部の映像に対して提供するは1社、残り2社は全く提供していなかった。
現行の放送法では、「リアルタイム放送」に一定の割合で画面解説や閉鎖字幕、手話を施すよう規定されている。消費者院は動画ストリーミングでの聴覚障害者の不便を勘案して、「非リアルタイム放送」(OTTなど)にも同様の規定を導入することも視野に入れている。聴覚障害者のメディア利用を制度的に保障しようということだ。
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障害者人権団体「障害の壁を崩そうとする人々」の視点は次のようなものだ。
「1999年に法を制定して以来、韓国の字幕と手話は飛躍的に発展した。一部は欧州の先進国より先を進んでいる。しかし法的に規制される地上波は別として、一部ケーブルを含めた国内OTTサービスはまだ法的に規制されておらず不備な点が多い」
「法規制に一貫性がない。規制があれば、支援が必要となるが、まだ国内にはそのような状況にはなっていない。またYouTubeなどの動画ストリーミングでは、公共機関の番組には字幕などが提供されているが、個人番組はそうなっていない」
韓国ろうあ者協会側も「放送の編成上、まだ残念な部分が多い」と指摘する。
「閉鎖字幕が放送とOTTプラットフォームではしっかり整備されていない。聴覚障害者が望むのは、非障害者と同じ時間に、一緒にすべてのコンテンツを見るということだ」
これだけではない。外国映画や海外ドラマを見るうえで、視覚障害者は死角地帯に追い込まれる場合が多いという。韓国視覚障害者協会は次のように指摘する。
「国内OTTサービスは、法的に義務化されていないという理由から『努力する』と繰り返すだけ。それだけの理由で、多くの視覚障害者がコンテンツ消費から外されているのは残念なことだ。ただ、吹き替えや音声解説は障害者に限らず、非障害者にも必要なものだ。政府の問題意識が足らないのではないか」
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放送通信委員会は今年5月11日、「2022年疎外階層メディア包容細部推進計画」を発表した。
この計画には▽メディアコンテンツ制作の支援体系強化▽包容的メディアアクセシビリティの保障▽デジタル新技術の包容的革新――などが含まれる。これにより、障害者がメディアにより広くアクセスできるよう保障すると約束した。
障害者団体が繰り返し、問題を提起してきた結果、一部は改善された。だが、急速に変化する放送環境に追いつくには、まだ十分とはいえない。
障害者もコンテンツを楽しむことができてこそ、真の意味でK-ドラマの地位をさらに高めることができるのではないか。
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