2025 年 12月 28日 (日)
ホーム社会「わずか3000件」発表のクーパン、自社調査で火消し図るも韓国国民の不信は拭えず

「わずか3000件」発表のクーパン、自社調査で火消し図るも韓国国民の不信は拭えず

ソウルにあるクーパンの物流センター(c)news1

大手EC企業クーパン(COUPANG)の韓国での顧客情報の大規模流出を巡り、同社は自社の元社員による犯行であり、流出は最小限だったとする調査結果を電撃発表した。だが、国会での聴聞会を目前に控えたこのタイミングでの発表に対し、国民の不信や疑念は依然として拭えていない。

クーパンは12月26日、元社員がセキュリティキーを不正に使用し、約3300万件の顧客情報にアクセスしたが、実際に保存されたのは3000件の顧客情報と2609件のマンション共用玄関の暗証番号にとどまると発表した。保存された情報には、名前、住所、電話番号、Eメール、共用玄関の暗証番号が含まれていたが、決済情報やログイン情報、個人通関番号などにはアクセスしていなかったという。

また、情報は元社員のノートパソコンにのみ保存され、外部には送信されていない。報道後に元社員がすべて削除し、ノートパソコンも川に投棄して証拠隠滅を図ったとされる。クーパンは「情報は外部流出していない」と強調し、被害者への補償を約束した上で、「再発防止のためのあらゆる手段を講じる」と表明した。

だが、この発表は、国会で30~31日に予定される連席聴聞会のわずか5日前であり、同日には大統領府主導による関係閣僚会議も開かれていた。政府や国会が「対応が甘い」としてクーパンを強く批判している中での発表で、事態打開を図るクーパンの「勝負手」とも受け取れる。

一方、今回の調査がクーパン自身によるものであり、内容もこれまで主張してきたものと大きく変わらないことから、発表の信憑性に疑念を抱く声もある。特に、同社が元社員の証言と端末を警察に提出する前に独自にフォレンジックを進めたことについて、「証拠の口裏合わせや改ざんではないか」との批判も出ている。

こうした中、警察や政府の公式調査結果が出る前にクーパンが独断で発表したことが、かえって混乱を長引かせるとの懸念も高まっている。警察は「クーパンの主張が事実かどうかを徹底的に捜査している」とし、元社員が実際に作成したものか、証拠物であるかどうかを綿密に分析中だと明らかにした。

科学技術情報通信省は「民官合同調査団が調査中の内容をクーパンが一方的に公表したことに強く抗議する」との説明資料を出し、「クーパンの主張は合同調査団によって確認されたものではない」と明確に否定した。

(c)news1

RELATED ARTICLES

Most Popular