2025 年 9月 6日 (土)
ホーム経済不動産「このままでは全員破綻」家主も借主も“血の涙”…韓国・低層住宅賃貸市場に再び危機

「このままでは全員破綻」家主も借主も“血の涙”…韓国・低層住宅賃貸市場に再び危機

ソウル市内のビラ密集地域(c)news1/MONEYTODAY

韓国のビラ(低層住宅)を中心とした全国のチョンセ(敷金一括前払い型賃貸)市場が再び危機に直面している。政府が2023年にチョンセ保証金返還保証の加入条件を「住宅価格の90%以内」と強化したのに続き、現在は「70%台」までのさらなる引き下げを検討しており、これが実現すれば既存の契約の多くが保証対象から外れる恐れがある。

現在、住宅都市保証公社(HUG)と韓国住宅金融公社(HF)の基準では、住宅価格を公示価格の140%として認定している。よって保証金が公示価格の126%までであれば、保証に加入できる。しかし、政府が検討中の新たな基準では、住宅価格の98%を上限とする方針であり、実質的に公示価格の98%以上の保証金は保証されなくなる。

国土交通省は保証加入条件の住宅担保比率(LTV)を、現行の90%から70~80%に引き下げる案を検討しているが、既に90%に引き下げた時点で市場に大きな衝撃があったという声も多い。これを受けて、韓国賃貸人連合会は最近、ソウル・汝矣島で大規模な反対集会を開催した。

保証基準の強化は、家主にとって既存の入居者に保証金を返却し、新たな契約を結ぶために数千万ウォンの追加資金が必要になることを意味する。特にビラなど非アパート市場は直接的な打撃を受けやすく、政府が掲げる「庶民の住宅安定」と「保証制度強化」という大義名分が、かえって家主と借主の双方に重い負担を強いる結果となっている。

政府は今回の政策について、チョンセ詐欺の防止とHUGの財政健全化を主な目的としている。しかし、2023年5月に保証加入基準を90%に強化したにもかかわらず、詐欺被害は依然として続いており、被害者への支援が遅れているケースも多い。HUGの利用規約が被害者に不利に適用され、公正取引委員会から是正勧告を受けた例もある。

また、保証強化の副作用として、外国資本や大手企業の賃貸市場参入が加速。保証金返還の負担に苦しむ既存の中小家主に代わり、大規模資本を持つ外資系や大手不動産会社が市場シェアを拡大しており、中小型家主の競争力が低下している。

業界関係者らは、今後の政策において▽中小家主の保護強化▽保証金比率の段階的調整▽地域ごとの柔軟な適用――などの具体的な対策が不可欠だと指摘する。

(c)MONEYTODAY

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