2025 年 8月 2日 (土)
ホーム社会「ここは東南アジア?」…猛暑でソウルでもバナナ実る

「ここは東南アジア?」…猛暑でソウルでもバナナ実る

2025年7月30日午前、チョンス週末農場の畑で房状に実ったバナナ(c)news1

2025年の記録的猛暑により、ソウル市内の露地畑でもバナナが実を結んだ。かつてはビニールハウスでの栽培が前提だった熱帯果実が、都市のど真ん中で育つ事態に、気候変動への懸念が改めて浮き彫りとなっている。

7月30日、記者が訪れたソウル市蘆原区の「チョンス週末農場」では、成人男性の背丈の1.5倍ほどの高さに成長したバナナの木が立っていた。その枝先には3房のバナナが実り、指ほどのサイズにまで成長。大きな紫色の花もぶら下がっていた。

現場の温湿度計は「気温35.8度、湿度73%」を示しており、まさに東南アジア並みの熱帯気候が広がっていた。

この農場では昨年に続き、今年もバナナが実を結んだ。バナナは通常、年間平均気温27~35度、年間降水量1700ミリメートル前後の高温多湿な環境で育つが、近年は首都圏でもその条件が整いつつある。

農場の代表であるマ・ミョンソン氏によると、今年植えた4本のうち3本が生育に成功し、そのうちの1本に結実が見られたという。

マ・ミョンソン氏は11年前から気候変動に対応する形で熱帯果樹の試験栽培を始めていた。「あまりに暑いので、まずはイチジクを試しに植えた。うまく育ったので、4年前にバナナにも挑戦したところ、初めて花が咲いた」と話す。

この異例の光景を聞きつけ、地元住民や遠方からの訪問者も農場に足を運んでいるという。マ・ミョンソン氏は「バナナの実は見たことがあっても、木や花を見たことがある人は少ないのではないか」と語った。

一方で、都市部でバナナが育つという事実は、単なる珍現象では済まされない。韓国では2024年の全国平均気温が14.5度となり、観測史上最も暑い年と記録された。バナナが開花・結実したという事実は、韓国の気候がもはや「温帯」を逸脱していることを示している。

マ・ミョンソン氏も「昨年と今年、バナナに実がついた。明らかに気候が変化している証拠」と述べ、今後は本格的な熱帯作物栽培にも取り組む可能性を示唆した。

こうした状況に対し、専門家は国内農業の転換を訴える。ソウル大学農経済社会学部のイム・ジョンビン教授は「熱帯作物の国産化は商業的に難しい。より重要なのは、災害に強い在来種や温帯作物の改良開発だ」と述べ、農村振興庁などの公的機関主導による新品種の研究と普及の必要性を指摘している。

(c)news1

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