
韓国の若年単身世帯が医療サービスを十分利用できていないことが、4月29日に韓国保健社会研究院が発表した報告書で明らかになった。単身世帯は経済的要因や時間不足などの問題を抱えているため、他の世帯類型に比べて「未充足医療需要(unmet medical demands)」を多く経験しているというのだ。
未充足医療とは、本人または医療専門家が医療サービスを必要と認識していたのに適切なサービスを受けられなかった場合を指す。症状の改善だけでなく、疾病の予防・治療にも影響を及ぼすため、医療サービスへのアクセスを示す指標とされる。
今回の研究は、疾病管理庁が実施した2022年の地域社会健康調査の単身世帯データを基に糖尿病・高血圧の診断有無、喫煙・飲酒量、うつ病指数などを分析したもの。
その結果、20~40歳未満の年齢層では医療サービスを必要とする割合自体は最も低かったが、健康問題が起きた際、適時に医療サービスを利用することが難しい実態が確認された。
若年層で未充足医療が多い理由については、若年単身世帯が職業・居住・経済面で不安定な状況に置かれていることが影響しているとみられる。
また、地域別に見ると、都市では単身世帯比率が高いほど医療ニーズが高まる一方、未充足医療の経験は減少。しかし農漁村地域では、単身世帯比率が高いほど医療ニーズは低いものの未充足医療の経験は増加する傾向を示した。
これは、農漁村地域の単身世帯が社会経済的地位が低いため、健康情報へのアクセスが難しいことが影響していると考えられる。さらに地域社会の分断が進み、経済的・物理的な支援を受けにくくなったことも医療サービス利用に影響していると指摘された。
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