
生まれたその日から資産を貯める時代がやってきた。韓国の銀行業界では「アギ(赤ちゃん)通帳」が新たな金融トレンドとして注目を集めている。
ソウル在住の30代女性は6月、出産直後にモバイルバンキングで子ども名義の通帳を作成した。家族とのグループチャットに通帳開設の知らせと赤ちゃんの写真を送ると、わずか数カ月で口座残高は300万ウォン(約33万円)を超えたという。
生後100日を祝う小さな会を開いた際には、参加できなかった親戚たちが「お祝い金」を現金ではなく口座に直接送金した。かつては旧正月などに現金で手渡していたお年玉も、いまでは「送金で済ませる」時代に変わりつつある。
数年前まで子どもの通帳を作るには、保護者が銀行窓口を訪れ、各種書類を提出する必要があった。しかし2023年の金融規制緩和により、非対面での本人確認が認められたことで、スマートフォンの数回のタップで子どもの口座を開設できるようになった。
この「アギ通帳」ブームを先導しているのはインターネット専業銀行「トスバンク(Toss Bank)」だ。2025年9月時点で、同社の子ども専用口座「アイ(I)通帳」は累計100万口座を突破した。親はアプリ上で口座開設から定期預金、チェックカード発行まで非対面で完結でき、子どもは12歳になると自分名義のカードを受け取り、交通費やコンビニ支払いなどで“金融デビュー”を果たせる。
カカオバンク(Kakao Bank)も0歳から16歳以下の子どもを対象にした「ウリアイ(わが子)通帳」を新たに発売した。入出金のたびに「初めて歩いた日」「初めてのお年玉」など、記念メッセージを残せる機能が特徴だ。
この動きはインターネット銀行だけでなく、主要都市銀行にも広がっている。ある銀行関係者は「顧客は最初に口座をつくれば、なかなか他行に乗り換えない傾向がある。赤ちゃん通帳は“生涯顧客”を確保する絶好の機会だ」と話す。
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