
韓国の自殺率が経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で22年連続1位という不名誉な状況が続く中、「うつではないが死にたい」と考える「非典型的自殺危険群」が成人全体の約4%を占めることが明らかになった。これは約160万人に相当し、自殺危険群全体の6割近くを占めるという。
疾病管理庁が公表した報告書「うつではないが自殺を考える人々――非典型的自殺危険群の存在と地域社会の対応必要性」によれば、このグループは外見上は健康で問題がなさそうに見えるが、実際には深刻な自殺リスクを抱えている人々を指す。従来の「うつ中心」の自殺予防政策では把握しきれない新たな層である。
報告書は、2008年から2024年までの地域社会健康調査のデータをもとに作成された。調査では「過去1年間で死にたいと思ったことがあるか」「2週間以上続く憂うつや絶望感を経験したか」を問う質問があり、前者に「はい」、後者に「いいえ」と答えた人を非典型的自殺危険群と分類した。
その結果、全自殺危険群のうち非典型群の割合は2008年の48.9%から2013年には65.2%へ急増し、その後も57%前後で推移。2024年時点では58.8%が「うつを感じないのに死を考えた」と回答した。
地域別では、忠南(チュンナム)5.8%、全北(チョンブク)4.6%、慶北(キョンブク)4.1%など農村・高齢地域で高く、首都圏ではソウル3.5%、大田(テジョン)3.1%と低めだった。しかし世宗(セジョン)7.4%、仁川(インチョン)6.0%と都市部でも高い水準を示し、「非典型群」は農村高齢層だけでなく都市の脆弱層にも広く存在することが分かった。
さらに、社会的支援の不足が非典型群のリスクを高めることも明らかになった。2013年・2017年のデータ分析によると、情緒的支援が欠如した場合は自殺危険が1.18倍、社会活動への不参加では1.6倍、地域社会への信頼が低い場合は1.69倍に増加した。
報告書を執筆した仁済大学保健大学院のパク・ノレ名誉教授は「非典型的自殺危険群は全自殺想起者の半数以上を占めており、従来の政策体系では把握されにくい構造的死角にある。地域精神健康福祉センターなどを通じた社会的つながりの強化や、地域特性に応じたきめ細かな対策が必要だ」と強調した。
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