「いつ倒れてもおかしくない状況です」。韓国政府の「医学部定員増員」方針に反発した専攻医の集団行動が続くなか、現場に残った医療スタッフの疲労感が大きくなっている。
3月4日午後、全北(チョンブク)大学病院本館2階の手術室前。コーヒー自動販売機の前で専門医とみられる医師2人が会話を交わしていた。やや疲れた様子だった。
自販機に寄りかかった医師は「体力の限界をとっくに超えている。当直勤務をしてから休むこともできず診療に当たっている状況だ。徹夜で頭も痛いし、まぶたが重い。患者のカルテもぼやけて見えるほどだ」と打ち明けた。
看護師たちの状況も同じだ。
内科診療室に患者を案内していた看護師A氏は「医療空白の長期化で疲労がたまっている。それでも内科の場合、他の科より勤務状況が良い方だ。比較的多くの患者が来院する外科で勤務する他の看護師は皆疲れを訴えている」と話した。
また別の看護師も「患者に寄り添っている教授たちの疲労が蓄積されている。いつ倒れてもおかしくない状況だ。使命感で患者を守っていらっしゃる。この2週間は何とか持ちこたえたが、これからがもっと心配だ」と話した。
疲れた姿の医療スタッフを眺める市民たちも懸念を示した。
市民(50代)は「専攻医がいない状況でも診察を受けることができて幸いだと思う。しかし、医療スタッフの顔に疲労感が漂っていて気持ちが落ち着かない。1日も早く病院を離れた専攻医が戻ってきて、現場にいる医療スタッフが十分な休息を取ることができればいい」と伝えた。
医療界などによると、全羅北道地域では専攻医189人のうち167人、円光(ウォングァン)大学病院126人のうち80人余り、イエス病院81人のうち75人が辞表を提出し、業務を中断した。政府が提示した業務復帰命令の期限が過ぎたが、全羅北道ではまだ専攻医の業務復帰の動きが現れていないことが確認された。
全羅北道内のある大学病院の関係者は「何人かの専攻医が辞表を出したにもかかわらず、現場で患者の世話をしていることがわかった。ただ、正確な人員は分からない。現場で発生しうる医療空白の最小限にするよう努力する」と述べた。
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