2026 年 3月 22日 (日)
ホーム社会「あるじなき空間」に刻まれた生老病死…韓国「ナヌムの家」、ハルモニ全員退去で養老施設の役割に幕

「あるじなき空間」に刻まれた生老病死…韓国「ナヌムの家」、ハルモニ全員退去で養老施設の役割に幕

ナヌムの家の入り口に建立されたハルモニたちの胸像(c)NEWSIS

1992年の開所以来、元慰安婦のハルモニ(おばあさん)たちの休息の場であり、証言の場としての役割を果たしてきた京畿道広州市退村面の「ナヌムの家」。

2年ぶりに再び訪れたこの場所で、まず目に飛び込んでくるのは、無言で見つめる21体のハルモニたちの胸像だ。この胸像は、ナヌムの家と直接・間接的に縁を結んだハルモニたちの生前の姿を形どったものである。胸像の一つひとつには、深く刻まれたしわと、固く結ばれた唇がありのままに表現されており、その表情には長い歳月の苦痛と忍耐の時間が重々しく刻まれていた。

ナヌムの家歴史館で生活していたハルモニたちの生前の写真(c)NEWSIS

34年余りにわたりナヌムの家で暮らしていたハルモニたちは、その多くが他界、最後に残った3人も2年前の今ごろ、健康状態の悪化により療養病院へと住まいを移した。

残念なことに、療養病院に移った3人のうち2人が世を去り、現在は1人だけが存命だ。今や、ここは「空っぽの空間」となった。

ナヌムの家には、ハルモニたちが数十年間生活しながら経験した「生老病死」を捉えた写真だけが、時の流れを証言していた。

歴史館には、ハルモニたちが生前使用していた遺品や絵画が展示されていた。使っていた絵の具や筆、古びた教科書は単なる物ではなく「生の痕跡」だ。ある人は絵で記憶を残し、ある人は文章で感情を綴った。

現在、歴史館は施設の老朽化により先月15日からリニューアル工事に入っている。今月末に完工予定で、来場者に公開される時期は4月初旬を予定している。

ナヌムの家の追悼の壁に、ある訪問者が残したメモ(c)NEWSIS

展示空間の一角に、日本人訪問客が残したと思われるメッセージが目に留まった。”I’m sorry from my heart as Japanese.”

「日本人として、心から申し訳なく思います」という意味の短い文章だが、その重みは決して軽くはない。戦争と暴力、そして責任の問題は、依然として現在進行形だ。

また別のメッセージには、「記憶すべき歴史、繰り返されないよう努力します」という決意が記されていた。ここは単なる展示空間ではなく、問いを投げかける場所なのだ。

ハルモニたちが全員去ったことで、養老施設としての機能は事実上終了した。実際にナヌムの家法人は、2025年10月に広州市へ養老施設運営の休止を申請している。

法人側は、養老施設の機能を廃止する代わりに、疎外階層への支援や奨学事業などへと領域を拡大する案を検討中だ。これまではハルモニたちの休息の場であり、証言の場として役割を果たしてきたが、これからは歴史を記憶し継承する教育と研究の拠点へと、機能転換が求められる時期に来ている。

2年前、これまでの大韓仏教曹渓宗を中心とした運営から、国家主導の歴史記念館へと転換する案も議論されたが、現在は明確な進展がないまま水面下に沈んでいる。

慰安婦歴史館(c)NEWSIS

ナヌムの家歴史館に勤務する記録研究士や学芸員、教育士たちは次のように訴える。

「これまで政府よりも民間が先頭に立って対応してきた側面が大きい。これからは国家レベルの支援はもちろん、体系的な教育と歴史資料の保存システムが整備されるべき時だ。慰安婦問題を単なる過去の出来事ではなく、継続的に研究・記録すべき歴史として認識する必要がある」

ナヌムの家の関係者は「最大の願いは、慰安婦歴史館を『日本軍慰安婦被害者センター』へと拡張することだ。ここが研究と教育の中心となる聖地、あるいはメッカになることを願っている」と語った。

(c)NEWSIS

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