ボイスフィッシング犯罪が麻薬犯罪と結びつく。人工知能(AI)をはじめとする最新IT技術が悪用され、手口が進化する――韓国・国家情報院は最近、世界各地で起きている事例を共有し、被害を防ぐための心得を公開した。
ボイスフィッシングでは犯罪組織は「被害者が麻薬犯罪にかかわった」と脅迫し、金銭を詐取したり、被害者を麻薬運搬策として利用したりする。
実際、米国では、司法機関を詐称して「あなた名義の口座を使って麻薬犯罪収益金がロンダリングされた」として個人情報と金銭を詐取した事例があった。
オーストラリアとカナダでは、ボイスフィッシング被害者に「お金を取り戻す」として、国際的な麻薬運搬役に被害者を仕立てて、犯罪への加担を誘導した。
特に税関を詐称して不特定多数に音声電話をかけて「あなた宛に送達された国際郵便から麻薬が検出された」と金銭をだまし取った事例が米国であった。
加えて、チャットGPTなどAIの普及により、詐欺シナリオの開発・フィッシングメッセージ作成にAIを悪用したり、偽チャットGPTウェブサイト・アプリを作ったりして、情報・金銭をだまし取る事例も起きている。
また、AIをベースにした人間イメージ・声合成技術であるディープフェイク・ディープボイスを悪用して被害者の声や顔を模倣し、被害者の知人・家族から金銭を詐取したりもした。
米国では偽チャットGPTアプリを有料配布する手法で金銭を詐取したり、チャットGPT詐称サイトを作って接続者のSNSアカウント情報を盗み取るという事例があった。
国情院は「ディープフェイクなど新たな技術が犯罪に悪用される恐れがある。音声・映像通話の時にも注意を払ってほしい」と呼びかけ、疑わしい場合、故郷・出身校など「確認質問」をするよう求めた。
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