2024 年 12月 9日 (月)
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韓流BTSが選んだ芸術家、その作品が「無炭素移動手段」に [韓国記者コラム]

トマス・サラセーノが廃プラスチックで制作した作品「Aerocene飛行」(c)news1

アルゼンチン出身の建築家・作家トマス・サラセーノ(Tomas Saraceno)はかなり有名な芸術家だ。作業室に150匹を越えるクモを育ててインスタレーション作品に活用し「美術界スパイダーマン」というニックネームを得たほか、韓国のグループ「BTS(防弾少年団)」と「連結」をテーマにコラボして人気を集めた。

トマス・サラセーノは米航空宇宙局(NASA)宇宙研究プログラムとマサチューセッツ工科大学(MIT)などと共同してインスタレーションアートを展示したことがある。

その中で制作した作品「Aerocene」は特に気候変動と関係が深い。トマス・サラセーノが注目した「持続可能性」と「芸術と科学の交差」もよく表現されている。

Aeroceneは一種の熱気球だ。ただし、この飛行体を飛ばすための方法と目的は「優雅な環境運動」のようだ。

Aeroceneを飛ばすには太陽熱が利用される。太陽エネルギーで空気を加熱し、この空気を熱気球に満たす。トマス・サラセーノはこのような方式で浮かべたAeroceneを最大2.55kmほど移動させた。芸術作品が「無炭素移動手段」になったわけだ。

トマス・サラセーノは「無炭素エネルギーで国境を越えて人々を連結する」と明らかにした。Aeroceneパイロットのレティシア・マルケスは「飛行によって水と生命の大切な価値を再確認した」と明らかにした。

トマス・サラセーノはAeroceneを環境運動の領域に拡大した。24カ国55カ所でAeroceneを飛ばした。中にはビニール袋のような廃プラスチックをつなぎ合わせたものもある。「廃プラスチックという『悪名高い物質』が単に廃棄されることなく、洗浄・乾燥・管理をすることによって環境に対する感受性を高めるツールとして誕生した」という。

ローマ教皇フランシスコと面会したトマス・サラセーノ(c)news1

最近はアルゼンチンのリチウム鉱山開発過程での原住民の住居地破壊問題に声を上げている。トマス・サラセーノはこうした活動の功績により、昨年、ローマ教皇フランシスコの招請でバチカンを訪問し、環境正義について説明したこともある。

国際エネルギー機関(IEA)によると、2022年時点で世界の交通部門の温室効果ガス排出量は8ギガトン程度だ。主な排出源は航空部門である。トマス・サラセーノのAeroceneは、各国や地域の気象状況や安全の問題で交通手段として採択されるのは難しいだろう。しかし、大量排出源である航空部門については、何らかの策を講じる必要があると警鐘を鳴らしている。【news1 ファン・ドクヒョン気候環境専門記者】

(c)news1

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