
韓国のHD現代、サムスン重工業、ハンファオーシャンの大手造船3社の2025年の受注実績が、年間目標または昨年比でおおむね50~70%の水準にとどまっている。1年の4分の3を過ぎた時点でこの数字は、やや物足りない結果だ。
主因は、韓国造船業の主力である液化天然ガス(LNG)運搬船の新規発注が一段落した状態にあるためとみられる。ただ、米国を中心にLNGプロジェクトが活発化しており、今後の受注回復への期待も高まっている。
業界によると、HD現代の造船持株会社であるHD韓国造船海洋はこれまでに93隻、123億7000万ドルを受注。年間目標180億5000万ドルの68.5%を達成した。サムスン重工業は27隻、50億ドルを受注し、目標98億ドルの51%にとどまった。ハンファオーシャンは32隻、63億2000万ドルを受注。目標値は公表していないが、昨年の実績(88億6000万ドル)比で約71.3%の進捗となる。
3社平均では、目標または前年実績比で約64.5%の達成率。昨年の「スーパーボーナス期」と比べると明らかに勢いを欠く。HD現代は2024年の秋夕時点で目標の125%、ハンファオーシャンは前年実績比142%を達成していた。
英クラークソン・リサーチによれば、2025年1~8月の世界新造船発注量は3448万CGTで、前年同期比14.1%減。中でも高付加価値船であるLNG運搬船は昨年の48隻から18隻へと半減した。
その一方で、造船各社はコンテナ船の受注で穴埋めを図っている。2024年の通年38隻に対し、2025年はすでに74隻を受注。これは、コロナ禍後の海運好況で潤った船会社が、環境規制強化を前に老朽船の更新を進めているためだ。
米国では5件のLNGプロジェクトが最終投資決定(FID)を下しており、天然ガス生産拡大に伴う輸送需要の増加が予想される。さらに、欧州がロシア産天然ガスの輸入停止を急ぐ動きも追い風となっている。
業界関係者は「受注が具体化する時期を断言するのは難しいが、LNG船建造需要は確実に増加傾向にある」と述べ、「近くLNG船の発注が再び回復に向かうと期待している」と話した。
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