韓国軍首脳部が軍用機で上空から軍の態勢を点検・指揮する新年恒例の「指揮飛行」が今年はまだ実施されておらず、背景に関心が集まっている。一部では、昨年末に起きた北朝鮮の無人機による挑発後、騒然となった軍内外の雰囲気に配慮して、形式的な行事を自制しているのではないかとの観測も出ている。
軍当局によると、2022年はソ・ウク(徐旭)国防相(当時)とパク・インホ(朴仁浩)空軍参謀総長がそれぞれ、空中早期警報統制機「ピースアイ」と、FA-50軽攻撃機に搭乗し、指揮飛行を実施した。これに対して、北朝鮮メディアは「南朝鮮(韓国)軍部が北侵戦争熱を鼓吹している」と不快感を示した経緯がある。
2021年1月1日には当時のムン・ジェイン(文在寅)大統領が軍統帥権者として初めてピースアイに搭乗した。ウォン・インチョル(元仁哲)合同参謀議長も同月、またイ・ソンヨン(李成龍)空軍参謀総長(ともに当時)も2月初め、それぞれ指揮飛行している。
今年、実施していない点について、軍消息筋は「特別な理由はないと聞いている。いつ実施しなければならないという規定はない。作戦状況と指揮官の日程などを考慮して実施される」と説明している。
軍内部では陸軍出身のイ・ジョンソプ(李鍾燮)国防相とキム・スンギョム(金承謙)合同参謀議長が実施の必要性を感じていないという話も出ている。
ただ、少佐時代に空軍最優秀操縦士に選ばれたことのあるチョン・サンファ(鄭相和)空軍参謀総長は、今四半期(1~3月)中に指揮飛行に出る案を検討しているという。軍当局によると、空軍参謀総長の場合、通常四半期ごとに指揮飛行をする。
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