
韓国で児童虐待による悲劇的な死が依然として続いている。保健福祉省の統計によれば、2020年から2024年までの5年間に207人の子どもが虐待の末に命を落とした。そのうち83%にあたる加害者は実の父母だった。
2020年10月、養父母の虐待によって生後16カ月で死亡した女児の事件は韓国社会に衝撃を与えた。それを契機に児童虐待防止制度が整備されたものの、今も毎年40人前後の子どもが虐待死している。
2023年10月には、生後400日を過ぎた男児が、実母とその知人による暴行で死亡した。判決文によると、男児の身体全体には打撲や傷跡が残されていた。母親は夜泣きを理由に顔や太ももを殴打し、木製の靴べらが折れるほどの暴行を加えた。母親は知人の暴力を止めることなく、「子どもの気をくじいてやる」と言って繰り返し殴打させたという。
保健福祉省が発行した「児童虐待主要統計」によれば、児童虐待による死亡件数は2020年の43件から翌年40件に減少したが、2022年には50件に再び増加。2024年には30件まで減少したものの、深刻な状況が続いている。
死亡した児童のうち、1歳未満が77人(37.2%)と最も多く、次いで1歳、3歳、8歳がそれぞれ17人(8.2%)だった。乳児の割合が高いのは、身体的に弱く、虐待による被害が致命的となるためとみられる。出生直後に遺棄・放置されて死亡した事例も児童虐待による殺人として分類されている。
2024年5月には、即席出会いで関係を持った男性の子を妊娠し、出産後に放置して死亡させた女性が児童虐待特別法違反(児童虐待致死)で懲役6年の実刑判決を受けた。
虐待の形態を見ると、身体的虐待が124件で最多、次いで放任が多かった。身体・情緒的虐待が同時に発生した事例は14件、身体的虐待と放任が重なったケースは13件、三つが重なったケースも10件に上った。
加害者は254人で、このうち実の父母が196人(77.2%)、全体の83.1%が親によるものだった。特に実母の比率が49.6%と最も高く、家庭内で起こる虐待の深刻さを浮き彫りにしている。
一方、女児虐待事件以降、社会の関心が高まり、児童虐待通報(112番)は急増した。2020年の1万6149件から2021年には2万6048件へと61%増加し、2024年には2万9735件に達した。警察による検挙件数も2020年の5551件から2023年に1万3015件と倍増している。
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