
韓国で、SKグループのチェ・テウォン(崔泰源)会長と妻ノ・ソヨン(盧素英)アートセンター・ナビ館長の離婚訴訟で、控訴審が「慰謝料20億ウォン(約2億2000万円)」を認めた影響が広がっている。法律事務所では「1億ウォンの慰謝料請求も可能か」との相談が相次ぎ、これまでの相場を大きく上回る金額を求める離婚訴訟が増えているという。
これまで韓国の離婚訴訟で1億ウォンを超える慰謝料が認められることは稀だった。家庭裁判所は通常、慰謝料を2000万~3000万ウォン程度と判断し、特別な事情がある場合でも5000万ウォン前後にとどまることが多かった。具体的な算定基準はないが、事実上の慣例として定着していた。
しかし、チェ・テウォン会長とノ・ソヨン館長の離婚をめぐる控訴審で、裁判所が「チェ・テウォン会長はノ・ソヨン館長に総額1兆3800億ウォン余の財産を分与し、さらに慰謝料20億ウォンを支払うべきだ」と判断したことで、法曹界の常識が覆された。1審での1億ウォンの認定も異例とされたが、2審でさらにその20倍が認められたことで、慰謝料額の「上方修正」論が浮上している。
法務法人チャウォンのチャン・ユンジョン弁護士は「今後の焦点は大法院(最高裁)の最終判断だ。もしこの判例が維持または拡大されれば、一般的な中規模離婚事件でも慰謝料水準が徐々に引き上げられる可能性が高い」と述べた。
一方で、今回の件を機に「慰謝料の現実化」を求める声も高まっている。これまで慰謝料は、物価や社会変化を十分に反映せず、旧来の基準で機械的に算定されてきたとの批判がある。家庭裁判所関係者は「姦通罪廃止以後、不貞行為などに対する慰謝料を引き上げるべきだという議論は続いてきた。国民の法感情を考慮する必要がある」と語った。
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