
韓国大田市儒城区にある国家情報資源管理院本院で発生した火災により、韓国の行政システムが大規模に麻痺した。政府によると、直接被害を受けた96の主要システムは全焼し、大邱センターに設置された官民協力型クラウドに移して復旧を進める計画だが、完全な正常化には約1カ月を要する見通しだ。
行政安全省のキム・ミンジェ次官は「情報資源準備に2週間、システム構築に2週間が必要とみられるが、可能な限り前倒しで進める」と説明した。しかし復旧時点はなお不透明だ。被害の大きい「オンナラシステム」をはじめ、内部電子決裁や文書流通が完全に停止し、各省庁は手書き決裁や対面受付に頼る「アナログ」業務を余儀なくされている。
韓国の電子政府はキム・デジュン(金大中)政権末期に試験的に導入され、ノ・ムヒョン(盧武鉉)政権下の2005年に「オンナラシステム」と「政府24(当時は民願24)」の前身サービスが始動した。その後、モバイル化やAI行政まで進展し、国連電子政府評価で世界1位となったこともある。だが今回の火災で、韓国のデジタル行政の根幹が一挙に停止し、制度発足以前の姿に逆戻りした形となった。
9月29日正午時点で復旧したシステムは62件にとどまり、政府24、モバイル身分証、住民登録システム、インターネット郵便局などが含まれる。一方、依然585のシステムが停止中で、特に保健福祉省の「福祉路」や「マイチャート」、葬祭関連システムなど福祉分野は全面的にマヒしたままだ。
雇用労働省は雇用保険や家族員数照会など雇用分野は復旧したが、労働安全関連システムは停止が続き、事件通報は紙でしか受け付けられない。企画財政省ではデジタル予算会計システムや国庫補助金管理は稼働しているが、統計庁の国家統計ポータルやマイクロデータサービスは接続できない。
公平取引委員会は主要サイトと「消費者24」を再開したが、住所検索機能は不通で、認証も制限されている。産業通商資源省は輸出審査や電力事業許認可など21業務が停止し、メールやFAXで代替している。農林畜産食品省も農業補助金関連業務に支障が出ている。
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