
韓国では、科学高校および英才高校を卒業しながらも、理工系特性化大学への進学を選ばない生徒が増加している。これらの高校は本来、優秀な理工系人材の育成を目的に設立されたが、現状では科学者よりも医師の道を選ぶ傾向が強まっている。
教育省傘下の情報公開サイト「大学告示」に8月1日公開された資料によると、2025年に4年制大学に入学した科学高校・英才高校出身の一般大学新入生は計2772人で、前年の2773人とほぼ変わらなかった。しかし、理工系特性化大学への進学者数は顕著に減少している。
これまで科学高校・英才高校出身者の進学先で最も多かった韓国科学技術院(KAIST)は、今年は2位に後退。入学者は548人で、前年から15人減少した。KAISTのほか、蔚山科学技術院(UNIST)、光州科学技術院(GIST)、大邱慶北科学技術院(DGIST)、浦項工科大学(POSTECH)、韓国エネルギー工科大学など、理工系特性化大学6校への合計進学者数は986人となり、初めて1000人を割った。全体に占める割合も36.9%から35.5%へと1.4ポイント下落した。
一方、最も多くの科学高校・英才高校出身者が進学したのはソウル大学で、全体の20%にあたる554人が入学。前年の503人から51人増加した。次いでKAIST、成均館大学(224人)、POSTECH(173人)、延世大学(163人)と続き、上位5大学中、非理工系特性化大学が多数を占めている。
いわゆる「SKY大学」と呼ばれるソウル大学・延世大学・高麗大学への進学者は、前年の825人(29.7%)から850人(30.7%)に増加した。また、上位10大学には、成均館大学、漢陽大学、中央大学といった医学部を持つ非理工系大学が含まれており、医学部人気が進学傾向に影響していることがうかがえる。
理工系特性化大学の多くが地方に位置していることも、敬遠される要因とされている。一方で、首都圏の名門大学への進学は増加傾向にある。
教育関係者は「科学高校・英才高校では医学部進学を抑制するため、奨学金の返還や支援金の回収といったペナルティを科しているが、それでも進路変更を防ぎきれていない。理工系人材の育成という設立目的に沿うためには、より実効性のある対策が必要だ」と指摘している。
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