2025 年 6月 12日 (木)
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韓国・最高裁判事の増員、下級審の崩壊を招く恐れ…法曹界から「段階的改革」求める声

2025年5月1日、大法院大法廷(c)news1

韓国与党「共に民主党」が、イ・ジェミョン(李在明)大統領の就任と同時に大法院(最高裁)判事の増員を含む法改正を強力に推進している。法曹界からは「拙速な制度改編は1・2審制度の崩壊を招きかねない」との警鐘が鳴らされている。

民主党は6月4日、大法院判事数を現行の14人から30人に倍増させる内容の「裁判所組織法改正案」を国会法案審査第1小委員会で単独通過させた。今後4年間で毎年4人ずつ、合計16人を段階的に追加任命する案だ。

大法院の上告事件の処理負担は長年の課題であり、2023年には大法院自らも上告審査制の導入と判事4人の増員を柱とした改革案を国会に提出していた。だが、今回のような大幅かつ急激な増員には、法曹界から懸念の声が強まっている。

高麗大学のキム・ソンテク法学専門大学院教授は「判事増員には賛成だが、人数を機械的に決めるのではなく、まず大法院の制度と運営方針を設計したうえで必要な人数を見極めるべき」と指摘した。

同じく高麗大学のチャン・ヨンス教授も「現実的な条件を無視した『とにかくやる』という態度では国民的な合意は得られない」と強調。「なぜ30人なのか、なぜ必要なのかという説明が不可欠だ」と述べた。

現在、大法院で判事を補佐する再審査官(裁判研究官)は、裁判官出身が101人、非裁判官が30人の計131人。判事が倍増する場合、少なくとも100人以上の研究官を新たに配置しなければ、現在と同水準の審理体制は維持できないとされる。

また研究官の多くは、地方裁判所の“中堅・即戦力クラス”の判事が担っており、これを大量に引き上げれば地方裁判所の人手不足を招き、1審の審理が滞る懸念もある。

ある現職部長判事は「実際に優秀で経験豊富な判事たちが研究官として引き抜かれる。大法院の上告審処理を改善するために、1審・2審が犠牲になる構図は本末転倒だ」と語った。

(c)news1

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