
韓国で2026年度の最低賃金が、2025年の時給1万30ウォンから2.9%引き上げられ、1万320ウォンに決定された。最低賃金委員会が表決なしに合意で決定したのは17年ぶり。小規模事業者にとっては実質据え置きに近い水準を求めていた中での「しぶしぶの合意」だった。
最低賃金に密接に関わる小規模事業者や非正規労働者らの代表性強化を求める声が高まっている。現行制度では大企業や大手労組の影響が強く、実態と乖離しているとの批判がある。
小規模事業者連合会は「民生経済の回復を重視し、苦渋の決断だった」とコメント。反対意見は強かったが、大局的な判断として合意に応じたという。
同連合会の調査によると、小規模事業者の月平均営業利益は2023年の279万5000ウォンから2025年には208万8000ウォンまで減少。「最低賃金の引き上げ」がその主因とされている。
中小企業中央会は、今回の引き上げが現場に混乱をもたらし、雇用減少につながる可能性を指摘した。連合会も「過去最悪の経済環境下で引き上げは経営悪化を加速させる」と懸念を示す。
最低賃金決定構造そのものへの見直し要求も浮上している。現行の委員構成は27人中、小規模事業者の代表は2人のみ。委員増員や隔年制導入、支払能力の考慮などが改善案として挙げられている。
政府はすでに制度改善のための研究会を設置し、最賃委の縮小や専門家主導方式への転換案を提示。ただし、利害関係者の代表性が後退するとの懸念もある。
ある事業者関係者は「大企業中心の交渉に翻弄されている」と訴え、制度改革の必要性を強調している。中小企業中央会も政府と国会による制度見直しを強く求めている。
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