2025 年 2月 5日 (水)
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韓国・半導体特別法の年内成立が不透明に…尹大統領の「非常戒厳」が直撃

戒厳令を宣言するユン・ソンニョル大統領=大統領室(c)KOREA WAVE

韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領による「非常戒厳」宣言の影響で、産業界が強く求めてきた「半導体特別法」の年内成立が困難な状況となった。国会本会議を1週間後に控えた中で、国会が非常体制に入ったため、主要法案の処理スケジュールが大きく狂い始めている。

週52時間労働制の適用除外などを盛り込んだ「半導体特別法案」は当初9日の常任委員会で審議が予定されていた。だが、国会が今週の日程を全面的に中止したことで10日に予定されていた本会議の正常な開催が難しくなり、審議入りが不透明な状況になった。

ある国会関係者は「来週月曜日に常任委員会の法案審査小委員会が予定されているが、半導体特別法案の議論が進むかどうかは確定していない。まだ議案として正式に上程されておらず、今後の推移を見守る必要がある」と述べた。

半導体特別法案は国内半導体業界が切望してきた。与党「国民の力」は業界の要望を反映し、補助金などの財政支援の根拠や、週52時間労働制の適用除外などを盛り込んでおり、定期国会での成立を目指してきた。

「週52時間労働制の適用除外」条項は、半導体研究開発(R&D)の特性を考慮し、52時間を超えても柔軟に研究開発を続けられるようにする制度だ。国家先端戦略産業の育成がますます重要になる中で、国内の現行「週52時間」制度が技術革新の妨げになっているとの指摘が背景にある。例えば、米NVIDIAや台湾積体電路製造(TSMC)は必要に応じて夜間研究を実施するが、韓国企業では開発者が自主的に研究を望んでも現行法上、時間外勤務が許されていない状況だ。

また、与党は半導体企業への直接補助金の支給が必要だと主張している。半導体は国家競争力に直結する分野であり、日本や米国、中国、欧州などが天文学的な額の補助金を支給して産業育成を積極的に進めている。このような状況の中、韓国も半導体産業への支援を単なる個別企業への優遇策としてではなく、国家的な競争力強化策として進めるべきだとする立場だ。

一方、野党は長時間労働による健康被害を懸念する労働界の反発を受け「週52時間労働制の適用除外」に同意していない。11月21日に国会産業通商資源中小ベンチャー企業委員会の法案小委員会で半導体特別法案が議論されたが、与野党間の合意に至らず、11月28日の本会議での採決も見送られる結果となった。

こうした状況を受け、11月28日に与党「国民の力」のハン・ドンフン(韓東勲)代表は「半導体産業の発展と、それを通じたAI産業の進展は国家の命運を左右する。国民の力は半導体特別法案を12月の定期国会内に必ず処理する」と表明していた。

しかし、ユン大統領の宣言により、半導体特別法の成立が来年に持ち越される可能性が高まり、業界には失望感が広がっている。

ある業界関係者は「半導体特別法案が年内に通過しなければ、グローバル競争で後れを取る恐れが大きい。国家レベルで産業の重要性を認識し、早急に支援策を講じるべきだ」と強調した。

(c)KOREA WAVE

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