
韓国の不動産市場で、外国人所有者の比率が年々高まっている。2024年末時点で、韓国内に住宅を保有する外国人は初めて10万人を突破し、そのうち56%以上が中国国籍者であることが明らかになった。特にソウル・城北洞の120億ウォン(約13億円)台の一戸建て住宅や、瑞草区・盤浦の高級マンション「盤浦ジャイ」など、韓国国内の“超一等地”不動産が次々と外国人に購入されており、「K-不動産ショッピング」とも言える現象が注目されている。
国土交通省が10日発表した資料によると、昨年末現在、韓国で住宅を所有している外国人は計9万8581人、保有物件数は10万216戸に達している。前年に比べ3.6%の増加で、韓国全体の住宅数の約0.52%を占める。外国人のうち複数住宅を所有する“多住宅者”は6492人、全体の6.6%だった。
近年では、超高額物件を現金で購入する外国人の事例が相次いでいる。今年3月、ソウル・城北区の高級一戸建て住宅が119億6000万ウォンで取引され、購入者は30代の中国人だった。この住宅はかつて韓国の大企業総帥一族が所有していた邸宅で、全額、自己資金での決済だったという。また、瑞草区・盤浦洞の「盤浦ジャイ」専有面積244㎡のマンションを74億ウォンで購入したのは、40代のウズベキスタン国籍の人物だった。
江南地域の高級マンション市場では、米国人の投資も目立つ。1月から4月までに江南3区(瑞草・江南・松坡)で米国人が購入した集合住宅(マンション・ヴィラなど)は58件で、同期間の中国人による購入件数(12件)を大きく上回った。一方で中国人は、首都圏郊外、特に京畿道の中低価格住宅に集中して投資しており、同期間に京畿道での購入は1431件、全体の76.8%を占めた。
外国人の投資は住宅にとどまらず、商業用不動産にも広がっている。グローバル不動産コンサルティング会社CBREによると、昨年、外国人が韓国の商業用不動産に投資した規模は28億ドルに達し、これは2019年以来5年ぶりの最高水準だ。投資先はオフィス(45%)、物流センター(33%)、ホテル(18%)などに分かれている。特にオフィス分野では、前年より109%増加した12億5000万ドルとなった。
国別では、米国(44%)とシンガポール(28%)が外国人商業用投資の72%を占めた。中国資本も、ケースクエアシティオフィスビルなどの主要資産を買収し、存在感を強めている。一方、韓国国内の投資家による海外不動産投資額は3億8000万ドルにとどまり、前年比48%減少した。
また、外国人による韓国国内の土地保有も増加傾向にある。国土交通省によると、2024年末現在、外国人が保有する韓国国内の土地面積は2億6790万㎡で、国土面積の約0.27%に相当する。国籍別では、米国(53.5%)が最多で、中国(7.9%)、ヨーロッパ系(7.1%)が続いた。用途別では、山林・農地などのその他用途が67.7%で最も多く、工場用地22%、レジャー用地4.4%と続いた。
こうした外国人投資の拡大に懸念の声も上がっている。高価格帯不動産市場が外国人主導で加熱すれば、韓国人の参入障壁が高くなる可能性があるためだ。特に自己資金の取引が多いことから、資金源や投機目的の有無について精査が必要だとの指摘もある。
同省は「外国人による異常取引については、取引申告や税務情報などを連携し、違法の疑いがある取引は厳しく調査する」と明らかにしている。
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