2025 年 3月 24日 (月)
ホーム経済流通韓国で高騰する花束…卒業式・バレンタイン特需でも冷え込む花市場「買い手がつかない」

韓国で高騰する花束…卒業式・バレンタイン特需でも冷え込む花市場「買い手がつかない」

12日午前、閑散とするソウル市瑞草区の良才花卉市場(c)news1

「3万ウォン(約3300円)の花束はもう昔の話。今は5万ウォン(約5500円)からが当たり前で、それでも小さいサイズです」

12日午前8時、ソウル市道峰区(トボング)の江北(カンブク)花市場を訪れると、卒業シーズンとバレンタインデーを控えているにもかかわらず、閑散とした雰囲気が漂っていた。地下1階の店舗10軒ほどには客の姿は見られず、地下2階でもわずか10人程度の市民や小売業者がいるだけだった。市場内には「卒業おめでとう」と書かれた花束が並んでいたが、買い手がつかない状況だった。

店主らは「普段より客足は増えているものの、例年に比べると明らかに少ない」と話す。花屋経営者、キム・スミさん(55)は「例年ならこの時期は通常の30%増しで客が来るが、年々減少している」と嘆く。外国産の輸入花に頼る傾向が強まり、国内の花農家は厳しい状況に追い込まれている。さらに、先週の寒波で花が凍ってしまい、そもそも花の供給自体が不足している――キムさんはこう説明した。

冬の花は特に高価だ。ビニールハウス内で栽培するため、通常の2倍以上の燃料費がかかるからだ。

さらに、長引く景気低迷が消費者の財布のひもを固くしている。

今年1月の卒業式シーズンでも、花卉(かき)業界は低迷が続いていた。韓国農水産食品流通公社(aT)によると、ソウル市瑞草区(ソチョグ)にある「良才(ヤンジェ)花卉市場」の卸売取引量は、前年の127万束から116万束へと9%減少。競売金額も94億ウォン(約10億円)から83億ウォン(約9億円)へと11.3%減少した。

こうした背景から、花屋では価格の高騰が顕著になっている。通常は地域の花屋より1万ウォン(約1100円)以上安く購入できる卸売市場でさえ、「最近は気軽に花を買うのが難しい」と消費者はこぼす。

生花の代わりに「コスパの良い」ソープフラワー(石鹸で作られた花束)や、ぬいぐるみ付きの花束を選ぶ消費者も増えている。ある消費者は「最近はソープフラワーを買う人が多いし、花の自動販売機で花束を買う人もいます。枯れる心配がないし、処分もしやすい。値段も生花より安いですからね」と話した。

一般の花屋では、卸売市場よりも花束の価格がさらに高くなる。卸売市場で3万ウォンだった花束が、地域の花屋では4万~5万ウォン(約4400~5500円)で販売されていた。

午前10時、ソウル吉音(キルム)駅周辺の花屋では、5万~8万ウォン(約5500~8800円)の花束が並んでいた。28年間、花屋を営んできたナムさん(50代)は「花の価格は通常より30~50%高くなっています」と語る。「花の栽培は収益性が低いため、生産者が減っています。また、輸入品の割合が増えているほか、電気代や人件費の上昇も影響しています」と指摘した。

この日、ある市民が娘の小学校卒業式用に黄色いフリージアの花束を購入した。手のひら4つ分ほどの大きさの花束は、6万5000ウォン(約7200円)だった。「高騰する花の価格に消費者の財布のひもは固くなり、花屋の経営も厳しさを増している」。ある業界関係者はこう言って、ため息をついた。

(c)news1

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